そう言えば、あのとき……
トクリュウ強盗の予兆とは
特殊詐欺(オレオレ詐欺)の被害額は年々減少し、2014年の565.5億円から2021年は282億円へと半分以下にまで減っていたが、2022に年370.8億円、2023年に452.6億円と、大幅な増加傾向にある。
【参考】警察庁 令和5年における特殊詐欺の認知・検挙状況等
https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei2023.pdf
これに加えて、「何かしらの業者のフリをして、あらかじめ自宅を訪問し、様子をうかがった後に犯行に及ぶ」という特殊詐欺のノウハウが、そのまま強盗に持ち込まれて行われている傾向もあるらしい。横浜市青葉区の事件では、事件が起きる約1カ月前から不審な電話や訪問が17件も確認された。
業者と名乗るそれら不審人物は「工事の挨拶」や「不要品の買取」「外壁が傷んでいる」といった口実で、居住者を玄関先に呼び出し、相対して様子を見ようとする。そういえば、筆者もそのどれにも対応したことがあり、あのどれかが犯罪の下見だった可能性もおそらく相当な確率であるのだろう。また、そうした犯行の下見も実行犯の中で細分化された役割のひとつである(その場合、強盗の決行には別の実行犯が派遣される)。
トクリュウによる犯行は、郊外の戸建てで死角となりやすい勝手口から侵入する手口が多いことから、専門家は窓を割れにくくする貼るタイプの防犯フィルムの導入を推奨している。
増加・凶悪化の一途をたどるトクリュウの犯罪に対して、警察は新たな体制構築による取り締まりの強化や、広域的な操作連携の強化などの施策を行っている。
ただ、現行法では捜査や規制が及ばないゆえに、トクリュウの温床となっているもの(秘匿性の高い連絡ツールでトクリュウ御用達の「Telegram」など)もあるので、対トクリュウの新たな法整備はぜひ進めてほしい。トクリュウが新たな脅威であることは間違いないので、新たな対策もまた取られるべきである。