J1リーグ戦の連続無敗記録を作った大宮の快進撃が続いている。
4月20日、浦和とのさいたまダービーを1-0で制した大宮は昨年9月からの連続無敗記録を18に伸ばした。これは鹿島が09年に作った17戦を超える新記録だ。この次に控えていたのが、26日の柏戦。柏は2011年のJリーグチャンピオンであり、現在行われているアジアチャンピオンズリーグ(ACL)でも苦戦する他の日本勢(広島、浦和、仙台)を尻目に早々と決勝トーナメントを決めた強豪だ。この辺で記録更新も止まるかなと思っていたら、なんと4-0で快勝。連続無敗記録を19に伸ばしただけでなく、クラブとしては初のリーグ戦首位に立った。
これには大宮サポーターも喜びを通り越して驚いているのではないだろうか。大宮がJ2からJ1に昇格したのは2005年。以来8シーズンをJ1で戦ってきたが、順位は13位、12位、15位、12位、13位、12位、13位、13位といずれも下位に低迷。毎年のように残留争いに巻き込まれ、ギリギリでJ1に踏み留まってきた。最後の最後で粘り強さを発揮すると評判になり、クラブが「落ちないお守り」を発売したところ、受験生などに飛ぶように売れてすぐに完売。手に入らなかった人はホームのNACK5スタジアムに隣接する氷川神社のお守りにすがるようになったほどだ。そんなチームが今年は残留争いどころか、優勝争いにさえ加わりそうな勢いなのだ。
大宮は13位だった昨季から、とくに大きな戦力補強をしていない。ロンドン五輪代表の中心選手だった東慶悟がFC東京に移籍するなど、開幕前はむしろ戦力ダウンともいわれていた。にもかかわらずこの快進撃を見せているのは、ズデンコ・ベルデニック監督の手腕に負う部分が大きいだろう。
大宮を新記録達成に導いた
ベルデニック監督の手腕とは
スロベニア人のベルデニック監督は現在63歳(5月2日に64歳になる)。ユーゴスラビアのクラブを皮切りにスロベニア代表、オーストリアのクラブの監督を務め、2000年に来日。5シーズンにわたって、ジェフ市原(現J2千葉)、名古屋、仙台などで采配を振るった。守備の指導には定評があり、2000年にJリーグに来た時はギリギリでJ1残留を決めた市原を翌2001年には3位に引き上げた実績を持つ。今回の大宮とまったく同じパターンで、守備を立て直し失点を少なくするところからチームを作っていくのだ。