佐藤「おいおい、映画館とは聞き捨てならないな。どういうこと?村山君、昨日は在宅勤務だったよね。もしかして、本当は休んでいたの?」
村山「いや、あの……」
佐藤「たしか、ずっとオンライン状態だったよね。まさか仕事をサボっていたんじゃないだろうな」
村山「いえ、あの、たまには息抜きも必要というか……」
佐藤「コーヒーブレイクとは訳が違うだろう?休むなら、ちゃんと休暇申請すればいいじゃないか」
佐藤の口調がだんだん厳しくなってきて、村山は思わず大きな声で反論した。
村山「休暇を取りたくても、うちの職場は申請しにくいじゃないですか!年休を取ると、査定が下がるってもっぱらの評判ですし」
佐藤「だからって、黙ってサボることが許されると思っているのか!」
村山「やるべきことは、ちゃんとやっています。それに、深夜や休日もお構いなしに連絡してくるのは、佐藤さんじゃないですか!」
二人の言い争う声がオフィスに響き渡っている。畠山は両手で顔を覆った。近くにいた社員が間に入ってその場の騒ぎは収まったものの、部下の言い分に納得がいかない佐藤は、社労士のカタリーナに相談することにした。カタリーナは、歯に衣着せぬ物言いで相談者に愛のムチを入れる、ちょっと風変わりな社労士だ。