それは「洋酒報国」です。日本人に受け入れられるウイスキーを作り洋酒の輸入金額を半分にすることで、日本に貢献したいという思いです。そして「わしがウイスキーを作るのは、日本の事業者が誰1人手を出そうとせんから。日本でもウイスキーを作れることを実証したいんや」という言葉にも信念を感じます。人間は、「自分が世の中に役立っている」という使命感がないと、最後まで努力ができません。

 さて、「やってみなはれ」というと、何でもかんでもチャレンジするように見えますが、当然ながらどこかに自己規律がないと失敗だけになってしまいます。

 キーエンスの創業者滝崎武光さんは、「やってみなはれ。でも儲けなきゃだめよ」と添えているようです。キーエンスは時価総額よりも一人当たりの利益率や一人当たりの生産性にとてもこだわりを持っています。また日本一高い給料を目指すともいっています。その意味でやはり儲けについて真剣に考え、そのためには何でもやってみようと思っているようです。

 また、やってみなはれの裏側には、人を肩書でみるのではなく、アイデアや人間性で見ていく文化があると思います。

 鳥井信治郎氏は、「日本に報いたい」という気持ちからの「やってみなはれ」でした。キーエンスも社員の満足度を上げるための、「やってみなはれ」です。「やってみなはれ」の前に何を目標にするのかということが、とても重要になります。