その点を聞いてみた結果がグラフ15だ。すると、「旅行・観光」ほどではないが、「地域の行事・お祭り・イベント」でも、やはり世帯年収の違いに応じて、子どもたちの参加率に差が生じていることがわかった。年収600万円以上の家庭と300万円未満の家庭では1.3倍超の格差だ。

グラフ15:「地域の行事・お祭り・イベント」への参加率(世帯年収別)同書より転載 拡大画像表示

 交通費や宿泊費などがかからない近所の行事などですらこうした格差があるのはなぜか。まず、お金の問題はあるだろう。数十円、数百円という単位で日々節約に励んでいる保護者にとってみれば、お祭りで色々なものを買い与えることも十分負担になる。

 そして、時間的な制約、体力的な制約の問題も、やはりあるだろう。地域の行事やお祭りなどは、単にお金を払って参加するだけでなく子どもや親が出し物を提供する側に回ることまでが「参加」の意味合いに含まれている場合も少なくない。

 地域のお祭りなどの活動に積極的に参加できるのは、経済的にも時間的にも、ある程度の余裕がある方が多いかもしれません。日中に仕事をしながら1人で子どもを育てていると、送迎や付き添いとか、そういった面で難しいなと感じます。

 あるシングルマザーの女性からお話を伺う中で語られた実感だ。

 加えて、情報の問題もある。無料で参加できる地域のイベントがあってもその情報を知らないという問題だ。