「横浜創英」校長交代の影響と「自修館」の行方

 元千代田区立麹町中学校長の工藤勇一氏が2020年に校長となったことで、横浜創英(横浜市神奈川区)の倍率はそれまでより2倍、3倍と爆上げした。ところが、同氏は今春任期を残して退任、教育アドバイザーとしてはとどまっている。25年入試はどうなるのか。

 前期日程で四つ、後期日程で一つの入試回が設けられ、サイエンスかグローバルいずれかのコースを出願時に選択し、それぞれスライド合格もある。志望者数はコースで分かれているが、実績は両者を合わせた数字で見ていこう。

 志望者数がいずれも1割ほど減っている[1日1回]は、24年に264人が受けて5.28倍という初回入試にしては極めて高い実倍率だった。25年は、23年の4.18倍まではいかなくても5倍前後になるかもしれない。ちなみに22年は1.67倍だった。サイエンスの志望者数が4割増の[1日午後2回]は最多の321人が受験して8.68倍という過酷な入試回だった。25年は9倍を超えるほどの勢いはなさそうだ。サイエンスが4割近く減少している[2日3回]は、24年実倍率9.06倍とさらに過酷だったものの、25年もそれを維持しそうだ。

[6日5回](24年は[6日4回])は、24年の合格者数が10人と少なかったこともあり、実倍率は18.5倍にもなった。それでも22年の49倍よりはましなのだが、志望者数が4割以上増えており、このままだと25年は20倍を軽く超えかねない。[3日4回コンピテンシー]は「プレゼンテーション」と「グループワーク」が課される。

 大学のような4学期制を取る自修館中等教育学校(伊勢原市)は、最寄りの小田急小田原線「愛甲石田」駅から徒歩18分という立地ながら、スクールバスを「愛甲石田」駅とJR東海道本線「平塚」駅に出して頑張っている。入試は基本的に2科・4科である。

[1日A探求]は適性検査型で、24年には102人が受けて実倍率1.57倍と最も受けやすい入試回で、25年も同様となりそうだ。[1日A2科・4科]は志望者数が2割弱減っており、24年実倍率2.11倍が、25年には2倍を割って23年の1.88倍に近づきそうだ。[1日午後A2]は148人と最多の受験者数で、実倍率は2.18倍だったが、志望者数は微増であり、25年も2.2倍前後となりそうだ。

 志望者数が2割弱減っている[2日B1]は、24年2.25倍から、25年はさらに緩和して22年の1.84倍に迫りそうだ。一方、4割半も志望者数が増えている[2日午後B2]は24年2.17倍から、25年は3倍に向けて動きそうだ。[3日午後C]は4割弱、[5日D]は3割弱、それぞれ志望者数が増えている。24年実倍率はそれぞれ1.97倍と2.62倍だったので、25年には2倍乗せと3倍に迫る動きとなりそうだ。