明日の玄米や運動より今日のケーキやリラックスがいいし、老後のための貯金よりいま手元にあるお金を使いたい。気候変動のようなグローバルな課題への取り組みがなかなか進まないのは、コストだけが先行し、その恩恵はずっと先の未来でしか得られないからだ。言うなれば、アイスやビールを好む現在の自分と、デザートを我慢し炭酸水を飲む、模範的な選好を持つ未来の自分がいるようなものだ。
問題は、どこかの時点で未来の自分は現在の自分になる、ということであり、まさにここが3人の共同研究の優れたポイントであった。彼らは、現在の自分に未来の自分を想像させ、前もって特定の意思決定をさせることによって、時間的なハードルを乗り越えられることを示した。これこそがコミットメントデバイスだ。
つまりこれは、未来の世界で意思決定を行うのはその時点の現在の自分であることを踏まえて、現在の自分が、未来の自分に正しい道を選ばせるために行う誓いに他ならないのだ。
コミットメントを決めることが
目標達成の第1歩になる
ローリーのように定期的にジムに通う自信がないとか、語学のレッスンを続けられそうにない(未来の自分は動詞の活用を覚えるよりもパブに飲みに行くほうを選ぶかもしれない)という人は、自分自身にコミットメントを課すとよい。コミットメント(ジムに行く、語学のレッスンを受ける等)を決めることこそが重要な第1歩であることを押さえておこう。