親の権利を一般に「親権」といいますが、子どもに対して親が何らかの権利を持っているという考え方は間違っていると僕は思います。

 子育ては権利ではなくて親の義務であり、「親義務」もしくは「親務」と改称すべきです。

 未熟児スレスレで生まれたわが子を一人前の大人にするのは、親の責務です。

 親の権利は名前をつけることくらいで、後は、親は子どもを一人前に育てる義務ぐらいしかないというのが僕の意見です。また、親と子の関係は、たとえ両親が離婚をしても途切れるものではありません。その意味で、わが国の単独親権は先進国には例をみない歪んだ制度だと思います。

父親が「育休」をとるのは
科学的に理にかなっている

 東京大学大学院薬学系研究科教授の池谷裕二さんが、著書『パパは脳研究者:子どもを育てる脳科学』(クレヨンハウス)の中で書かれていますが、女性が出産する際には、脳内で「オキシトシン」というホルモンが大量に分泌されます。

 オキシトシンは、別名「幸せホルモン」「愛着ホルモン」「絆ホルモン」とも呼ばれていて、オキシトシンが体内で放出されると、母親は赤ちゃんと深い愛情で結ばれます。母親が子育てを厭わないのは、オキシトシンが分泌されているからです。