日本の企業の中には、全男性に「1日」だけ育児休暇を強制的に取らせて、「男性の育児休暇取得率100%」とPRしているような事例が見受けられます。

 これはあくまで、メディア露出や政府のアンケート調査対策にすぎません。医学的には、2~3カ月は子どもの面倒を見ないとオキシトシンが十分出ないことがわかっているので、EUにならって、働く父親に対する育休制度をもっともっと拡充すべきです。

(2)社会が複雑になっているから。

 人間を育てるのに時間がかかる2つ目の理由は「社会が複雑になっている」からです。

 人間は高度な文明を築いているので、現在の社会の構造はとても複雑なものになっています。

食べ物を与えるのではなく
魚の釣り方を教えるのが「教育」

 しかも、時代が変化するスピードは、これからますます速くなります。たとえ最新のプログラミング言語を学んだとしても、すぐに陳腐化するでしょう。

 こうした時代では、ダーウィンのいう通り、変化に適応するしかない。上手く適応するためには、「政府とは何か」「社会保障とは何か」「お金とは何か」などといった社会生活に必要な基本的なリテラシーを身につけておくことが必須です。