CASE2「行動が遅い子」
もしかして甘えている?

 移動教室や遠足などで先生から「移動してね」「着替えてね」と声をかけられても、すぐに行動に移れない。そのため、集団行動で悪目立ちしてしまう子も少なくありません。

 このような子に対して、「甘えているのかな?」などと考えがちですが、声をかけられてもすぐ行動できない子にはさまざまな背景が隠れています。

 まず、ひとつ考えられる要因は「聞く力が弱い」という点です。たとえば、学校の先生が「国語の教科書の30ページを開いて、3番目の例文を読んでみましょう」と指示した場合、聞く力が弱い子だと「国語の教科書を開いて」という指示ぐらいしか聞き取れないことがあります。

 その場合、情報が上手に理解できず、やるべきことに行動が移せなくなってしまいます。

 また、不安が強い子や慎重な子は、新しい行動に慣れるまで時間がかかるので、それが要因になっている可能性もあります。その他、「集中力が途切れている」「わからないけれども恥ずかしいから質問できない」などの理由も考えられます。

 すぐに行動に移らない子に対しては、まずは保護者がその様子を観察し、その背景に隠れている原因にはどんなものがあるのかを探っていくことを心掛けてください。

P73イラストイラスト:(C)石玉サコ 拡大画像表示