野菜室に置くだけでOK!
野菜がシャキッと長持ちする、魔法の装置
食品製造業界では、実に様々な方面から食品ロスへのアプローチが続いている。
例えば、食品別のロス量の最も多い野菜に着目したのが、日用品メーカーのエステーだ。2022年に、冷蔵庫の野菜室に置いておくだけで、野菜を新鮮に保つ「新鮮番」を発売している。
野菜は収穫後も呼吸することで水分や栄養分を消費して老化していくが、「新鮮番」から発生される二酸化炭素で野菜の呼吸を緩やかにして、新鮮さを長引かせるという仕組みになっている。鮮度保持効果は約3カ月で、袋に入っている野菜への効果も期待できる。
スーパーなどの店頭に並ぶ生鮮食品の包装技術の進化も無視はできない。
ダイエー、日本テトラパック…
鮮度維持へのアイデアが続々
スーパー大手のダイエーでは、肉や魚などの生鮮食品を特殊なフィルムで真空包装する「真空スキンパック」をいち早く取り入れている。
肉や魚は、食品トレーとラップの間にある空気に長い時間触れることで鮮度が落ちていく。そこで、100度以上に熱したフィルムで、食品トレーとラップをすき間なく密着させることで、食品が空気に触れることを防ぐのだ。
通常よりも食品の鮮度が長持ちするため、一般的な「トレイラップ」方式の消費期限3~5日間程度に対し、真空スキンパックを施した場合の消費期限は約16日間にまで延長することを可能にした。
さらに、紙容器大手の日本テトラパックは、牛乳などの飲食料品を、常温での長期保存を可能にした紙パック「ロングライフ紙パック」を開発している。
これはアルミ箔と紙とポリエチレンを6層構造にした紙パックに、滅菌した牛乳等を無菌環境で詰めるという仕組みで、酸素の透過を防ぎ、光を遮断して、長期に渡って品質を保つことができる。
開封前のチルド牛乳が、10度以下の環境の場合、保存期間は2~3週間程度であるのに対し、ロングライフ紙パックの場合は、常温でも約2~3カ月の保存が可能になる。
この他にも、オイシックス・ラ・大地は、家庭内でのロス量第2位の調味料を⼩分けにするなど、各社が様々な工夫を行っているのが実状だ。