大口法人の単価下落が
収益を圧迫

 利益面では、人件費上昇などの外部要因に加えて、大口顧客を中心に宅配便単価が下落したことや積載効率低下に伴う輸送コスト増加が利益を押し下げた。さらに、今年4月に就航したフレイター(貨物専用機)事業もコストが先行し、同事業だけで71億円の損失を計上した。

 宅配便事業の詳細を見ると、宅配便3商品の取扱個数の内訳は、リテールが4億2824万4000個(1.9%減)、大口法人が5億1592万8000個(8.5%増)となり、大口法人の伸びが目立つ。一方、前年同期と比較した単価は、リテールが1.1%増となったものの、大口法人は2.5%減となり、大口法人の単価下落が収益を圧迫。上期の平均単価は708円となり、前年同期を12円下回った。

下期に改善見込むも
大幅下方修正

 こうした状況を受けて、同社では下期に収益改善に向けた取り組みを実施する。大口法人へのプライシング適正化では、12月の繁忙期を対象にシーズンチャージの徴収を進めていくほか、低採算顧客約1800社と交渉し、法人単価の引き上げを狙う。また、CL事業と連携し、顧客のサプライチェーン全体への提案を強化していく。外販収入の獲得が遅れているフレイター事業では、就航地周辺の顧客への営業活動を強化し、損失幅の縮小を図る。

 ネットワーク・オペレーション構造改革では、輸送効率や積載効率の低下によるコスト増加に歯止めをかけることに注力する。2Q累計での輸送コストが前年同期比で66億円上昇しており、ターミナル間の幹線輸送の配車適正化などによりコスト抑制に取り組む。

 通期業績は、売上高1兆7300億円(前期比1.6%減)、営業利益100億円(75.0%減)、経常利益100億円(75.3%減)、当期純利益50億円(86.7%減)の減収減益を予想。下期の一定の改善効果を見込むものの、2Qまでの状況などを踏まえ、大幅な下方修正を余儀なくされた。

 宅配便3商品の通期での取扱個数は前期比3.5%増の19億5280万個を想定。このうちリテールは8億8380万個(1.1%減)、大口法人10億6900万個(7.7%増)を見込む。単価は前期比7円減の714円と、2Q実績からの上昇を計画する。