黒物家電の大量絶滅で
ノジマも成長の曲がり角に直面
21世紀初頭、デジタル時代の新しいワクワクはVAIOから始まっていたのですが、やがてカメラは携帯やスマホと融合し、デジタル放送はブルーレイレコーダーで残す時代を経て動画配信でいつでも見られる時代へと変化します。
パソコンは結局パソコン単体の存在に戻り、やがて価格競争に巻き込まれ、ソニーショックを経てVAIOはソニーグループの中では“オワコン”となります。
そしてVAIO事業は企業再生ファンドの日本産業パートナーズに売却され、法人向け需要にフォーカスする形で事業再建が続けられてきました。それを今回、ノジマが買収することになったのです。
さてノジマの祖業でもある家電量販店業界自体が成長の曲がり角に来ています。洗濯機、エアコン、冷蔵庫といった白物家電は高級化・高性能化と買い替え需要で、なくなりはしません。しかし、いわゆる黒物家電はオワコンになるのではないかと危惧されています。
黒物家電とはかつてのジャンルで言えばテレビ、ビデオレコーダー、ステレオやラジカセ、ウォークマンのようなポータブルオーディオ、そしてデジカメやハンディカムのようなビデオ録画機器といった商品のジャンルです。
このオーディオビジュアルを中心とした黒物家電の業界では、この20年で大量絶滅が起きています。
平成初期の自宅にはどの家庭にもステレオ機器が置かれていました。まずこのポータブルステレオが消滅します。ラジカセやウォークマンも同様で、すべてスマホと小型のスピーカーやイヤホンに置き換わります。デジカメやビデオカメラも家電量販店の人気商品でしたが、今ではどちらもスマホに代替されるようになりました。
テレビは大画面化が進み安泰ですが、録画はテレビに直接ハードディスクを接続すればそれでOKなのでレコーダーは購入する必要がなくなりました。動画配信もテレビ本体からできますから機器は必要ありません。
結局、黒物家電ではテレビとスピーカーだけが必要で、あとはUSBケーブルでつながるパソコン用のHDDとスマホ関連グッズだけが売り場で生き残るような状況です。