どんな言い訳をするかで、
部下のモチベーションが分かる

書影榎本博明『ビジネス心理学大全』(日経ビジネス人文庫)榎本博明『ビジネス心理学大全』(日経ビジネス人文庫)

 内的統制型の人物は、「物事の成否を決めるのは、自分自身の能力や取り組み方だ」とみなす思考習慣が身についている。すなわち、自分が能力を十分に発揮できれば良い結果が出るはずだ、一所懸命に頑張ればきっと良い結果がついてくるはずだと考え、うまくいかないときも、十分に力が発揮できていないからだ、やり方をもっと工夫すれば何とかなるのではないかなどと考えるため、高いモチベーションを維持することができる。そして、成功確率を高めるために、仕事に必要な知識を仕入れる勉強をしたり、幅広く情報収集をしたり、地頭を鍛えるため直接仕事に関係ない読書をしたりして、能力開発に励むことになる。

 これに対して、外的統制型の人物は、「物事の成否を決めるのは状況や運や他人の力であって、自分にはどうすることもできない力が働いている」とみなす思考習慣を身につけている。そのためモチベーションは低く、能力開発もおろそかになりがちになる。自分の頑張り次第で成功への道を切り拓いていけるといった発想がなく、思うような成果が出ないとすぐに諦めてしまうクセがある。

 それゆえに、どのような言い訳が多いかでモチベーションが高い人物かどうかを見分けることができる。

 思うような成果が出ないとき、不景気だからとか、ライバル社の攻勢が凄まじかったとか、相手方の担当者との相性が悪かったなど、外的要因を持ち出して言い訳する人物は、概してモチベーションが低いとみなしていい。一方、やり方を間違えたとか準備不足だったというように内的要因を持ち出して言い訳をする人物は、モチベーションが高いとみなすことができる。