1%を切る変動金利は
借り過ぎてしまう危険が!

 変動金利には、目先の毎月返済額を抑えられるためについつい多額のローンを「借り過ぎ」てしまう危険性が高いという問題があります。ところが、不動産の売り手からすれば、客が多額の住宅ローンを組むことになったとしても不動産を買ってほしいというのが本音。「家賃並みで買えますよ」というセールストークを繰り広げるために変動金利型ローンで返済シミュレーションを見せるケースが多く、買い手は不動産販売会社に勧められるままに変動金利で高額なローンを組んでしまいがちです。

 しかし、金利が上昇した時に利息負担が増せば、家計が破綻してしまうかもしれません。今のような超低金利の時こそ、「家賃なみの返済額」に惑わされないようにしなくてはならないのです。

 ちなみに、4000万円の住宅ローンを組む場合、金利2.5%の長期固定金利を選べば毎月の返済額は14万円を超える計算です。このように数字を示されると、同じ借入額でも金利しだいで毎月の返済額が大きく変わることを実感できるのではないでしょうか。

 なお、変動金利のリスクについては、「日銀は当面、金利を上げないのでは」という方もいます。確かに今の金融政策のもとではすぐに金利が上がることは考えにくいかもしれませんが、住宅ローンの返済期間は長期に渡ります。いずれは金利上昇局面が来ると考えるのが自然でしょう。

住宅ローン以外にも
毎月支払う諸経費がある!

「家賃なみの負担」にはほかにも落とし穴があります。

 住宅購入後、「意外に住居費がふくらんでしまい、生活が苦しくなった」という人は少なくありません。持ち家になると固定資産税が発生することや、マンションなら管理費や修繕積立金が必要なことを考慮しているでしょうか?「月々のローン返済額が家賃なみ」という判断基準で家を買えば、住居にかかるコストがアップすることも忘れてはなりません。

 また、住宅ローンの返済期間は長く、その間に家族の生活はどんどん変化していきます。第3回でも書いたように子どもが生まれると家計に大きな影響があることをよく考えておかなくてはなりません。子どもが幼いうちは、共働き夫婦であっても保育園代などの支出がかさんで家計が苦しくなるものです。高校や大学への進学時期には、教育費の負担が重くのしかかります。当初は楽に払えていた「家賃なみの返済額」でも、子どもが成長するにしたがって支払いに苦労するケースは非常に多いのです。

 さて、ここまでのご説明で、「家賃なみの返済額」にリスクがあることはご理解いただけたのではないかと思います。しかし、なかには「それでも家賃を払うのはもったいない気がする」「どうせお金を払うならローンを組んでマイホームを買い、自分の資産にしたい」と感じる人もいるでしょう。もちろん、無理なく返せる額にとどめてローンを組むのであれば、住宅を買っても問題ありません。

 ただし、ローンを組んで住宅を買う場合は、頭に入れておくべきことがあります。