生徒があいさつしてくれるかくれないかをすごく気にする親御さんは多いです。例えば、わざわざ立ち止まって「こんにちは」と言ってくれたから好感が持てるとかね。
でも、私の経験上、必ずしもあいさつと学校の良さは比例しないように感じています。実は、入るのが難しくない学校ほど、生徒の見られ方に力を入れているケースが多いんです。学校が生徒をコントロールするなら服装や髪型、あいさつが手っ取り早いですからね。
外面を良くしようみたいな学校側の下心が透けて見える場合があります。強制されたあいさつには意味はないですし、生徒の自主性を損ねかねません。
もちろん、学校の難易度が高くても、礼儀作法に厳しいところもあります。しかし、前回もお話ししたように、概して難易度が高い学校のほうが生徒に任せていると感じます。
大切なのはあいさつをするか、しないかではなく、いかに生徒が自分の頭で考えて行動できるようにするかです。そういう方針を学校が持っているかどうか。そして、その方針について先生方のコンセンサスが取れているかどうかのほうが、来校者へのあいさつよりもはるかに大事なことだと思います。
さらに追加するなら、学校に行ったときの校内の活気を見てください。私は「温度の高い学校・低い学校」と呼んでいます。
低温の学校に行くと、受付の段階でやる気のなさが分かったりします。それから、廊下を歩いていても掲示板に外部のコンテストやコンクールへの生徒の参加を促すようなものが何も貼られていなかったりします。
外部のコンテストやコンクールというのはポスターで告知されることが多いんですが、それを一切貼っていない学校もある。生徒に「こういうものがあるよ」「参加してみない?」という働きかけをしていないということです。生徒に刺激を与え、成長を促すのが学校の役割です。
例えば、渋渋(渋谷教育学園渋谷)なんかに行くと、ハーバード大学、プリンストン大学をはじめとした世界の難関大学のペナント(旗)がいくつも飾られています。実際に先輩たちが入学した大学がわかるので、「自分も行けるかも」と自分事として考えることができます。
ほんの少しの工夫で、生徒の視野を広げ、モチベーションを高めることができるのです。
生徒に学校の外で参加するコンクール、コンテストへの出場を促しているかどうかは本当に大事です。親や先生といった身内の評価だけでなく、外部の第三者から評価された経験が子どもの成長につながります。飛躍の機会を生徒に提供しているかという目線で学校見学をしてください。
――ありがとうございました。次回は公立中学に行く是非についてお聞きします。