パワー格差をなくすためにできること
一個人、いや、たとえ役員クラスの人が騒いだとしても、このパワーバランスはすぐに変わるものではない。そうはいっても、社内のパワー格差はやはり悩ましい。部署間の格差はない方がよいだろう。
不公平感を生み出さないために「一律皆同じにしろ」ということではない。意見をする権利や意思決定権、働き方の選択肢なども、職種やメンバーの特性に応じて選択可能なほうがよい。
本当の公平とは「全員が表面的に同じ」ことではなく、「全員が同じように選択できる」ことだ。同じ会社であっても、職種ごとに生産性や集中力が高まる環境や仕事の仕方は当然異なる。その違いをリスペクトし合う関係性を創る方が公平だと言えるだろう。
他部署に過度に遠慮したり、けなし合ったりする姿は、外の人が見ても気持ちよいものではない。残念な組織だと思われてしまう。現場と本社、部署間のリスペクトを醸成するために個人として何ができるだろうか。
異なる部署の仕事を体験してみる
お互いの気持ちを知るためには、とにかく相手の景色を見に行く。それが何よりだ。
その部署に異動せずとも、たとえば一定期間、相手の部署に滞在してみる。他部署のやり方を勉強するためでも、課題の解決を早めるためでも、理由は何でもよい。最近では社内複業などの制度で、他部署の仕事との兼任を後押ししている企業もある。そのような制度を利用するのも手だ。
まずはあなたが、他部署の景色を見に行こう。その部署の人との心の距離も縮まり、お互いにリスペクトの気持ちも生まれやすいだろう。そこから対等な立場で対話できる関係が構築できる。そして気づいたこと、学んだことを自部署に持ち帰り共有しよう。そこから得られる理解もある。
自分たちなりの「勝ちパターン」を実践し発信する
他部署からの同調圧力に押されたり、周りの目を気にしすぎたりせず、自分たちなりに最適と思われる仕事の仕方を小さく試してみよう。
たとえばテレワークの方が作業に集中できるなら、テレワークを堂々と実践してみる。体感したメリットや得られた成果は積極的に言語化し発信する。自分たちなりの「勝ちパターン」を堂々と示す姿勢が大事だ。
何も言わないから、相対的に自部署が弱くなる。その現実も間違いなく存在する。変化や成果を発信して、存在感を示そう。
・相手の景色を見に行く。社内複業などの制度を活用するのも手
・自分たちの勝ちパターンを実践し、成果と共に発信する
(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)