初めに提示した方法によってこの問を分析してみます。

1 聞かれていることの整理
・高い目標を掲げて物事に取り組んだ事例について述べる
2 注意すべき点
・「高い目標」にふさわしいことを書く

 このようになります。この1、2を押さえた上で、答案を書きます。これが、問題文を正確に理解するために必要な一連の作業です。今回は、ごく簡単な問ですから、「こんなことはやらなくても分かる」と思う人もいるかもしれません。

 しかし、「自己啓発に関してどのように取り組んでいるか述べなさい」「入社後の夢やビジョンについて述べてください」たったこれだけのことでも、意味を理解できずに書いてしまう人が多いのです。「こんなことくらい言われなくても分かる」と思わずに、自分の中の常識を疑い、一度立ち止まって考える癖をつけましょう。

ビジネス界で使われる横文字
実は意味が分からないことも多い

 出題が複雑になるにつれ、一連の作業は一層重要になってきます。次の例題で考えてみましょう。

問 あなたが、過去1年間でイノベーションに挑戦した事例を挙げ、その成果と課題点について述べてください。

 まず、1の作業を行います。この問の場合、聞かれていることが複数あります。

1 聞かれていることの整理
・過去1年間でイノベーションに挑戦した事例を挙げる
・その成果と課題点について述べる

 このように分解できます。しかし、よく考えると、2つ目の項目の「成果と課題点」は、「成果」と「課題点」の要素に分けられます。両方を書かなければいけません。ここに気づくことが大事です。先に述べた「……を挙げよ」「……を指摘しなさい」「……を述べなさい」といった指示以外にも、「AとBについて述べよ」「AおよびBについて指摘した上で……」のような表現にも注意します。

 これを踏まえるとこの出題は、

1 聞かれていることの整理
・過去1年間でイノベーションに挑戦した事例を挙げる
・その成果について述べる
・その課題点について述べる

 こういう構造になっています。