コースにヤマを張る(B型)もできるようになりました。球種を絞り込む(D型)も対応は可能でした。もちろん、実際のところはヤマを張っても打てるボールと打てないボールがあります。では打てるボールを待ちたい時にどうすればいいか、というところで(C型)と(D型)をミックスさせながら対応の幅を広げるようにしました。

 最も苦労したのが、(C型)の右方向、つまり「引っ張り」でした。僕は左バッターなので、引っ張るバッティングというとライト方向へと打つことですが、そのためにはなるべくポイントを前に持ってこなければいけない。自分の体の内側、インサイドへのボールに対して引っ張ろうとすると、ポイントが後ろでは腕が窮屈になって打球が詰まってしまいますから、自ずと前のポイントで打とうとしますよね。

 では、真ん中からアウトサイド寄りのボールに対して引っ張ろうとするにはどうしたらいいか……。特に、二軍にいた当時は2番バッターをしていました。20年近く前のことですから、当時の野球で2番バッターといえば、ランナーが一塁にいたら進めるために当然、一、二塁間に打とうという考えがある。

ストライクゾーンを平面でなく
奥行きも含めた3次元で捉える

 それを分かっているからプロのピッチャーは引っ張らせないように外角へ投げてくるわけです。そうなった時、僕は全然打てなくて悩みに悩みました。

 何でもいいから何かきっかけが欲しくて、当時現役だった古田さん(編集部注/正捕手の古田敦也)に聞きに行ったんです。古田さんは右バッターですが、アウトサイドに逃げていく球をすくい上げてレフトスタンドにホームランにする、というイメージが凄くあった。外の球を引っ張るのが得意なんですよ。

 古田さんは、「外の球を一、二塁間に打つためにいかに前で捉えるか」ということを教えてくれました。言葉で説明するのは難しいですが、イメージとしてはストライクゾーンを“平面”ではなく、“奥行き”も含めた3次元で捉えて勝負していく、という考え方です。