アジアへの投資を加速させる他メガと違い、米国事業を強化するみずほ銀行。米M&Aアドバイザリー企業のグリーンヒルを傘下に収めるなど、ここ数年事業基盤の強化に取り組んできた。2025年はどのような手を打つのか。特集『総予測2025』の本稿で、加藤勝彦頭取に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
三位一体の改革とアライアンス戦略で
25年はリテール強化が進む
――2024年はマイナス金利が解除され、金利のある世界が復活した年でした。
金利のある世界が始まり、預金獲得が非常に重要になった年でした。預金金利を引き上げて獲得するのではなく、利便性やロイヤルティーを高めることによって、粘着性の高い預金を取っていくことが重要になっています。
みずほ銀行は店舗、DX(デジタルトランスフォーメーション)、コールセンターの三位一体で個人向けのサービスを強化してきました。
加えて新NISAに関する取り組み、楽天カードへの出資などのアライアンス戦略も強化しています。これで25年、いよいよリテールの強化が進み始めます。
銀行と証券の連携によって、NISA口座は24年9月末、22年度比で12万口座も増加し、個人運用預かり資産残高はみずほフィナンシャルグループ全体で約5兆円増えています。
法人分野でも、同意なき買収やMBO(経営陣による買収)の増加、PBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業へのアクティビストの活動などが印象的でした。中堅規模の上場企業は、事業再編や投資などのコーポレートアクションを活発化させており、われわれもサポートを強化しています。
24年9月末の取引額ベースでの見込み案件数は、前年同月末と比べて6割増、また価値共創投資などの投融資残高は、23年3月末比約4割増で推移しています。
――米国では買収したM&Aアドバイザリー企業のグリーンヒルとの連携を深めています。25年はどのように海外戦略を進めますか。
みずほフィナンシャルグループでは、注力する事業分野を絞り込んで強化しており、米国はグループ全体の海外戦略の中で特に注力している市場だ。グループの中核であるみずほ銀行は25年、米国でどのような手を打つのか。次ページで、24年の取り組みと25年へ向けた展望を聞いた。