総予測2025#57Photo by Takuma Suda

2024年、ローソンの経営体制は大きく変化した。KDDIによるTOB(株式公開買い付け)が成立し、三菱商事に加えて同社が50%の議決権を持つ親会社となったのだ。一方、国内事業の業績は好調に推移し、過去最高益を達成した。25年は弾みをつけたまま、セブンにどこまで迫れるか。特集『総予測2025』の本稿では、コンビニ経営の課題である人手不足問題への秘策をローソンの竹増貞信社長が激白した。(聞き手/ダイヤモンド編集部 下本菜実)

インフレに商品企画で対応
「具なしラーメン」がヒット

――2024年の消費者の購買行動はどうでしたか。

 夏場は猛暑が続いたのでドリンク類が特に伸びました。ただ、24年の販売状況を見て驚いたのは、夏場にホット麺が売れるようになったことです。さらにいえば、冬場でも冷やし中華が売れるようになりました。

 ローソンは新型コロナウイルスの感染拡大で日常遣いしてもらえる店舗を目指し、品ぞろえなどを変えてきました。夏場にホット麺が売れるようになったのは、オフィスなどでの即食需要から、自宅で食べるための購買に変わったということ。

 コロナ禍での改革が実を結んだのかなと思います。一方、アフターコロナの生活の変化で売り上げが落ちたものもありました。

――どんな商品でしょうか。

 飲み会後の買い物需要が減ったことで、夜間のカップラーメンやアイスはコロナ禍前の水準まで戻ってきていません。高価格帯のラーメンは値上げも響いています。そこでPB(プライベートブランド)として発売し、ヒットしたのが、スープにこだわった具なしのカップ麺です。

――尖った商品企画ですね。

 そうなんです。ほかにも、無類のマヨネーズ好きをターゲットにしたマヨネーズ風ドリンクなども出しました。新商品の企画では、世の中に存在しなかったものにコンビニらしさを加えて、お客さまに楽しんでもらいたいと考えています。

――競合企業ではイートインを減らす動きもあります。店舗の見直しは進めますか。

競合のファミリーマートは25年に売り場を拡大し、棚数を増やす「アポロ計画」で収益の拡大を狙う(『ファミマ社長が限られた売り場を拡大する“驚きの秘策”を披露!その名も「アポロ計画」の全容とは』参照)。対するローソンは、コンビニの経営課題である人手不足をある秘策で乗り切る考えだ。次ページでは、竹増氏がその秘策を明らかにする。