山口 携帯電話もガラケーからスマホに移り、それに合わせてコンテンツのあり方もどんどん変わっていく。表現者はインターフェイスにどう対応していくかということを常に問われていくと思います。どんなにすごい表現能力を持っていたとしても、新しいインターフェイスやメディア、デバイスに対応できないと、表現そのものが埋没してしまう可能性がありますから。
平野 同じ問題は、本に関しても当てはまりますね。電子本が普及し始めたけれど、みんなが思っていたよりも紙と電子の間の「谷間」は深くて、なかなかそこを乗り越えきれない。僕自身、自分の本も電子化していますし、ほかの本を電子本で読むこともありますが、正直まだ文庫本で読む方がストレスは少ない。やっぱり単純に電子化するだけじゃどうもだめらしい、とみんな分かってきたと思うんです。
山口 僕にとって今の電子書籍はすごく「消費的」に読むものというか、パパッと読んでいってエッセンスを把握したらハイ終わり、という感じになっていますね。今後はますます短い内容のものだけになっていくんじゃないかな、という気がしています。
平野 今後、端末の重さを含めていろいろ改善すべき点がありますね。
(次回・後編公開は5/14です)
平野啓一郎さん書籍のご案内
講談社・刊
『ドーン』『私とは何かー「個人」から「分人」へー』につづく“分人”三部作の集大成!
30代の死因第1位……自殺。日本人は今、なぜ死を選ぶのか?現代の生と死、そして幸福の意味を問う衝撃作。
世界各地で、死んだ人間がよみがえる「復生者」のニュースが報じられていた。主人公・土屋徹生は36歳。3年前に自殺したサラリーマン、復生者のひとりだ。愛する妻と子に恵まれ、幸福だったはずの自分が、なぜ死んだのか?実は自殺ではなく、殺されたのではないか?自らの死の謎を追い求める中で、彼は生きる意味、死んで行く意味、そして幸福の意味を知る──。
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なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?
これからを幸せに生き抜くための新・資本論
人は、経験を通して世界を創造する。
お金は、その創造の一要素でしかない。
将来の“正解”が見通せない今、誰もが、ぼんやりとした不安を抱えて生きています。その大きな原因は「変化が重なり、先がよめないこと」。なかでも、グローバル化やIT化によって最も大きく変化したもののひとつが、金融、「お金」のあり方でしょう。「お金」の変化を整理し、どうすれば幸せをつかめるのか、経済的に生き抜いていけるのか、考え方や行動様式をまとめた、未来を考えるための土台を固めてくれる新「資本論」です。