山口 携帯電話もガラケーからスマホに移り、それに合わせてコンテンツのあり方もどんどん変わっていく。表現者はインターフェイスにどう対応していくかということを常に問われていくと思います。どんなにすごい表現能力を持っていたとしても、新しいインターフェイスやメディア、デバイスに対応できないと、表現そのものが埋没してしまう可能性がありますから。

平野 同じ問題は、本に関しても当てはまりますね。電子本が普及し始めたけれど、みんなが思っていたよりも紙と電子の間の「谷間」は深くて、なかなかそこを乗り越えきれない。僕自身、自分の本も電子化していますし、ほかの本を電子本で読むこともありますが、正直まだ文庫本で読む方がストレスは少ない。やっぱり単純に電子化するだけじゃどうもだめらしい、とみんな分かってきたと思うんです。

山口 僕にとって今の電子書籍はすごく「消費的」に読むものというか、パパッと読んでいってエッセンスを把握したらハイ終わり、という感じになっていますね。今後はますます短い内容のものだけになっていくんじゃないかな、という気がしています。

平野 今後、端末の重さを含めていろいろ改善すべき点がありますね。

(次回・後編公開は5/14です)


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