誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになります!
あえて勉強しないという戦略
今日は「あえて勉強しない」という選択肢についてお話ししたいと思います。
もちろん、基本的には勉強をすることは大切であり、損になることはほとんどありません。
知識が増えるほど、より多くの問題に対処できたり、新たな発想を得られたりする手助けになります。
でも、もしあなたがゼロから何かを生み出す、いわゆるクリエイティブな作業に取り組む場合、あえて勉強をしないという方法も一手ではないかと思うのです。
あえて情報を取り込まないメリット
どういうことかというと、私は日々、どうしたらもっと楽に生きられるかといったテーマを考え、本を書いたりしています。
その中心となる発想は、なるべく自分に内在するものの中から引き出したいと考えています。
もちろん、精神医学などの専門的な知識は欠かせませんが、似たような分野で同じテーマを語っている人の本や情報には、できるだけ触れないようにしているのです。
なぜなら、そういった情報をたくさん取り込んでしまうと、自分が独自に考えたつもりのアイデアが、実はどこかで見聞きしたものに影響されてしまう可能性が高くなるからです。
情報を取り込みすぎるデメリット
脳は、無意識のうちに記憶した情報を参照してしまうもの。だからこそ、新たな発想をゼロから生み出したいときは、そのジャンルについての外部情報をあえてシャットアウトし、自分自身に内在するものの中から出てくる発想を大切にしたいのです。
もちろん、現代社会で完全にゼロの発想を得るのは難しいでしょうし、たまたま似たような発想をほかの誰かが既に持っていたとしても、それは仕方のないことでしょう。
概して情報を詰め込みすぎてしまうと、独創性を失ってしまうことは十分にありえます。独自性やクリエイティビティが求められる分野においては、あえて勉強しない、あるいはほかの事例や先行研究を見ないという選択は、意外なほど力を発揮するものです。
ときには勉強しないことも
戦略としてアリ
もちろん、基本的な知識は必要ですし、周辺分野についての理解はあったほうがいいのは言うまでもありません。
ただ、本当にコアとなるアイデアを生み出したい場合、その点に関しては情報をあまり入れすぎないことが大事なのではないかと思います。
「ときには勉強しないことも戦略としてアリ」という考え方を頭の片隅に置いておくと、独創性を引き出す助けになるかもしれません。
普段は勉強するに越したことはないのですが、「こういう視点もあるんだ」という参考にしていただければと思います。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。