日本はゼネラリスト型採用
海外はポジション採用

 日本と海外の雇用形態の違いも理解しておきたい。

 日本の航空業界では、ANAやJALの総合職の新卒採用は配属先が特定されない「ゼネラリスト型採用」が主流だ。

 LCCではポジション採用も見られるが、基本的には職種や部署を固定せず、複数の部署を経験させる日本独特の雇用形態が続いている。

 一方、海外の航空会社では特定の職種に限定した「ポジション採用」が一般的で、異動は本人の希望や特別な事情がない限り少ないといわれている。

 近年では、日本でも中途採用が進みつつある。特に広報などは他業種からの転職者も増えており、中途で入社するケースが見られるようになった。ただし、中途採用者も配属先の変更が契約上あり得るため、海外の職種固定型とは異なる。

 日本の航空業界は終身雇用の風潮が強い。新卒採用が依然として圧倒的に多く、中途採用者は少数派だ。

 そのため、会社や仕事への愛着が強い傾向があり、特にコロナ禍のような困難な時期でも、社員の結束や愛社精神が保たれていると感じられる部分もある。

 一方で、転職市場の観点から見ると「回転が悪い」と指摘されることもある。

学生時代の海外旅行は貴重な体験
非航空事業の採用も進む

 近年、若者の間で海外旅行離れが進んでいるが、これからの時代はグローバルな視点がますます重要だ。

 インバウンド観光の受け入れや新しい海外拠点への進出など、日本全体が国際的な対応を求められている中で、学生時代に海外旅行を経験することの意義は非常に大きい。

 特にヨーロッパやアメリカを含めた渡航が理想的だが、LCCを利用すれば比較的安価に海外旅行が可能だ。自身の目で海外の世界を直接見て体験することで、グローバルな感覚を磨ける。就職活動にあたり、それが貴重な体験談となるだろう。

 航空業界は外部環境の影響を大きく受ける業界だ。コロナ禍をはじめとするパンデミックや戦争、テロといった要因が国際線の運航に大きな打撃を与えることがある。

 今後もこうしたリスクを織り込んだ上で企業としての体力を高めることが必要であり、非航空事業への展開も進めている。

 例えば、金融サービスや通販、ITを活用したマーケティングなど、航空会社が持つ顧客データベースを活用して新たな収益源を構築する動きが見られる。

 こうした分野の人材も、今後は航空業界で需要が高まるだろう。