国際線が主力の事業になるが
情勢によりコスト増につながる

 まず航空業界の状況をつかむために、ANAとJALの2大航空会社の動向を見ておこう。

 大手航空会社における収益源は国際線へとシフトしている。以前は国内線が収益の主力だったが、23年ごろからコロナ禍の回復に伴いインバウンド需要が増加。24年3月期連結決算では、売上高に対する割合(構成比)が逆転した。

 国内線に関しては需要が飽和状態にあるため、これから爆発的な成長は見込めない。今後は国際線、特にインバウンドと、日本からの海外渡航の需要回復が重要な成長要素となるだろう。

 現在、日本発のアウトバウンド需要は回復傾向にあるが、まだコロナ禍以前の6割程度しか戻っていない。

 逆にいえば、日本経済が強くなれば必然的に海外旅行も増え、国際線が航空業界の中心になると予測される。

 国際線において新たな需要を取り込むために、例えばANAでは今月から来年初めにかけて、イタリアのミラノ、トルコのイスタンブール、スウェーデンのストックホルムといった中規模都市への新規直行便を開始する予定だ。

 これは従来の英ロンドン、仏パリ、米ニューヨークといった大都市以外の、中都市にも需要があることを見据えた施策だ。

 一方、ウクライナ情勢の影響により、ヨーロッパへの直行便は大幅な遠回りを余儀なくされている。

 この状況は約3年間続いており、飛行時間が2~3時間ほど長くなっている。パイロットも3~4人体制での運航が必要で、乗務員の交代や燃料費などコスト面での影響が大きい。