ホンダと日産の統合は自動車“大淘汰”の幕開けか?電機業界の轍を踏まない戦略とはこの夏、EV分野を中心とする事業協力について記者会見し、握手するホンダと日産自動車の両社長 Photo:JIJI

ホンダと日産が経営統合の衝撃
自動車業界にも淘汰の波が訪れる?

 自動車大手のホンダと日産自動車が、経営統合への協議の可能性を探るため、調整に入ったという。

 ホンダと日産は今年3月にEVやソフトウエア分野での協業を発表しており、いずれは経営統合という話も出るのではと思ったものの、予想よりも早く経営統合に話が進んだという方も多かったのではないかと思う。

 筆者のファーストインプレッションは、いよいよ自動車業界もエレクトロニクスで起こった「金太郎アメ的総合電機メーカーの淘汰」と同じような状況が起きつつあるのではないか、ということであった。

 ホンダと日産は世界で第7位、第8位の大手自動車メーカーである。国内には三菱、マツダ、スバルなどより規模の小さい自動車メーカーもあり、これまでは、それぞれの自動車メーカーの持ち味を生かし、製品差異化によって、ユニークな小規模自動車メーカーが生き残ることもできた。

 三菱は「ランサーエボリューション」や「パジェロ」のような特徴のあるスポーツカーやSUVで根強い人気を誇っていたし、マツダは内燃機関の効率をとことん高めるスカイアクティブテクノロジーでガソリンエンジンをもう一花咲かせていた。スバルは水平対向エンジンが有名で、北米でも技術ブランドとして頭一つ抜けていた存在であった。

 日本には自動車メーカーが多すぎるという声もある。しかし、これまでは中小メーカーも製品差異化で生き残ることができた。そうした状況も含めて、今回話題に上っているホンダと日産の統合は、2000年代に起きた日本の総合電機メーカーの淘汰と似ていると言えるのではないだろうか。