一方、男児においては、6割程度の男児がどの学年においても青色を好むようです。赤色も3年生までは2番目に好きな色なのですが、4年生以降は人気がなくなり、緑や黒が人気になってくるようです。

 このデータは厳密な方法ではないですし、統計的分析もなされていないので注意が必要ですが、日本の子どもにおいても、女児はピンク、男児は青、という色の好みは見られるようです。しかし、男児では4歳から12歳ごろまで青色が安定的に人気であるのに対して、女児では4~6歳で圧倒的だったピンクの人気が、小学校に入ると急落するようです。

 また、繰り返しになりますが、あくまでここでの色の好みは傾向に過ぎず、女児が全員ピンク色を好きなわけではないですし、男児が全員青色を好きなわけでもありません。茶色や灰色を選ぶ子どもはほとんど見られないのですが、色の好みは多様ですし、1つに絞られるものでもありません。さらに、ピンクや青を挙げておいたほうがいいと子どもが思った可能性すらあるので、その点も注意が必要です。

 こういう色の好みの傾向は、欧米諸国でも見られることもあり、工業化されたいわゆる先進国の中では共通した傾向として見られるようです。

 今回取り上げたいのは、こういった色への興味が、生まれつきのものなのか、それとも、生後の経験の影響なのか、という点です。

色の好みは
生まれつきではない

 読者の皆さんは、色の好みは生まれつきだと思うでしょうか。それとも、環境の影響だと思うでしょうか。生まれつきというのは、女性として生まれた場合にはピンクが好きだと決まっているということになり、男性として生まれた場合には青色が好きだと決まっているということです。

 実は、色の好みは生物学的・進化的に興味深い問題です。特定の色を好む、もしくは、特定の色に対して感受性を持っているというのは、配偶者選びにとって大事だという考え方もあります。果たして、ピンクを好むこと、青色を好むことに、何らかの進化的な意味はあるのでしょうか。