関係性攻撃は
ほとんど性差がない

 言語的攻撃も、身体的攻撃ほど性差はありませんが、年齢的にはほぼ同じ時期に性差が見られるようになります。6歳ごろには性差が出てきて、こちらは10代にピークを迎えます。

 一方、関係性攻撃は、ほとんど性差がありません。わずかながら性差が見られるのが10代であり、女性の攻撃性が高いという結果です。9歳以下では結果が一貫しておらず、明確な傾向は認められません。関係性攻撃が10代以下で少ないのは、この攻撃をするためには複雑な社会性が必要であることと無縁ではないでしょう。グループをつくったり、グループ内で示し合わせて嫌がらせをしたり、相手にダメージを与える方法を考えたり、そういう能力が必要になります。

 ちなみに、身体的攻撃をしやすい子どもは、関係性攻撃をしやすい傾向があるようです。結局のところ、攻撃性が高い子どもは、どのような形であれ他人を攻撃する傾向があるということです。

 まとめてみると、比較的単純な身体的攻撃は生後早い時期から見られるようになり、男児に多く見られること、言語的攻撃や関係性攻撃は子どもの成長とともに見られるようになり、言語的攻撃は男児、関係性攻撃はほぼ性差はないものの、わずかながら女児で多いということが言えそうです。

言葉の発達と
攻撃行動の関係

 ところで、皆さんはこんな話を聞いたことがありませんか?男の子は言葉の発達がゆっくりなので、女の子に比べて自分の思いや考えをうまく伝えられない。そのことにいらだってしまって、結果的に手が出てしまったりする。

 日常の家庭での一場面や保育の現場において、このようなことが語られるのは珍しくありません。伝えたいことがあるのにうまく言葉が出ずにかっとなってしまい、親や友達に身体的に攻撃をしてしまうというのです。

 この話が興味深いのは、言葉の性差の話と、攻撃性の性差の話が交わるためです。実際にはそれほど言葉の発達の性差は大きいわけではないので、この話は眉唾じゃないかなと筆者も個人的に思っていたのですが、両者の関係を示すような研究もあります。