「円安?」「国債?」「チャットGPT?」よく耳にするけれど、実際のところ何のことなのか、何が問題なのかわからないまま……そんな今さら聞けないニュースや用語の数々を、どこよりも楽しく、そしてわかりやすくご紹介します!大人気アニメ「秘密結社 鷹の爪」の吉田くんが新聞記者となって、世の中の経済ニュース・時事用語を基本からていねいに紐解き話題となっている書籍『「鷹の爪」の吉田くんが聞く!経済ニュースと時事用語がめちゃくちゃわかる本』の中から一部を抜粋、編集してお伝えします。(構成/上栗崇)

【今さら聞けない時事問題が100%わかる!】「103万円の壁」ちゃんと説明できる?

本連載は、好奇心旺盛な「鷹の爪」吉田くんの質問を、先輩であるアカツキ記者が答えていく会話形式で構成されています。今回のテーマは「103万円の壁」です。

「103万円の壁」って何ですか?

アカツキ先輩(以下、アカツキ):さて来週の予定は、っと。

吉田くん(以下、吉田):あーっ、先輩! 壁にカレンダーなんか貼ったらダメですよ! いま壁ってめちゃくちゃ高いんだから、先輩の給料じゃ弁償できませんよ。

アカツキ:なんだなんだ。壁が高い? 吉田、もしかして……。

吉田:そうですよ。ニュースで「103万円の壁」って言ってたじゃないですか。そんな超高級品に押しピンを刺すなんて、非常識にもほどがあります。

アカツキ:島根では押しピンか。関東では画びょうだな。というのは置いといて、「103万円の壁」は壁の値段を言ってるわけじゃない。年間103万円以上の収入があると所得税などの税金がかかるという「課税最低ライン」のことなんだ。たとえば110万円の収入なら、103万円を超えた7万円に税金がかかる。

103万円を超えた分にかかる税金はどれぐらいなんですか

吉田:103万円ってえらく切りが悪い数字ですね。あれですか、「父さん」の語呂合わせですか。

アカツキ:違う。課税最低ラインは、生活にかかる最低限の費用には税金をかけないという考え方で、かつては物価上昇率に合わせて最低課税ラインを引き上げていた。1995年の引き上げで103万円になった後、日本がデフレに陥って物価が上がらなかったから、30年近く見直しが行われなかったんだ。最近の物価高を受けてアルバイトやパートの時給が上がっているから、自分の収入が103万円を超えないよう働く時間を抑える人が増えていて、それが「103万円の壁」と言われている。

吉田:で、103万円を超えた分にかかる税金はどれぐらいなんですか。

アカツキ:所得税は収入が上がるほど増えるが、110万円の収入を例にしたら、7万円に税率5%だから3500円だな。

待ってくださいよ。なんで親の収入にまで影響があるんですか

吉田:3500円? 僕にとっては大金ですけど、ニュースで大騒ぎしているわりには金額小さくないですか。税金を引かれても6万6500円トクしてるし。

アカツキ:ところがそうじゃないんだ。アルバイトをしている子ども世代が年間103万円以上稼ぐと、子どもに税金がかかるだけじゃなく、親の手取り収入が減ってしまうことも大きな問題になっている。

吉田:待ってくださいよ。なんで親の収入にまで影響があるんですか。

アカツキ:この問題が起きるのは、親が子どもを養っている状態の家庭だ。親が子どもを養うことを法律用語では「扶養」というんだが、子を扶養することは、親にとって経済的な負担になるよな。

吉田:そりゃそうです。うちの母さんも女手一つで僕ら3兄弟を育てるのは本当に大変だったって言ってました。