日持ちさせるための「添加物」
健康に問題ないのか?

 ある調査によれば、おせちは全て購入したり、手作りと一部市販品を購入という人で60%以上だったそうです。豪華おせちの売れ行きは年々増加しており、伝統的なおせちを全て手作りする家庭は減っているようです。

 おせちを買うのはもちろん結構ですが、市販のおせちには「意外な落とし穴」があります。元旦までに多くのご家庭におせちを届けるために、その製造過程や流通過程でどうしても、添加物を使わざるをえない事情があるのです。

 市販のおせちには、保存料や合成着色料などの添加物を使用している商品が多くあります。添加物は色合いや保存期間の調整などの目的で使用されます。「市販のおせち」に、大量の添加物が使われる理由は3つあります。

1. 保存性を高める

「日持ち向上剤」が多用されます。そのためによく使われるのは「グリシン」「酢酸ナトリウム」「pH調整剤」といった「コンビニの食品によく使われる定番の添加物」です。

 グリシンはアミノ酸の一種で耐熱性菌の生育を抑えるため、日持ち向上剤として使用されます。保存料ほど長時間食品を保存する効果はありませんが、数時間から1~2日程度日持ちを向上させることができます。安全性が高く、使用制限がありません。

 酢酸ナトリウムは酸性領域で幅広い細菌の育成を抑える効果があります。pH調整剤は、食品のpHを弱酸性(6.0~6.5)に調整することで、食品の腐敗を抑える効果があります。また、食品の品質安定や色調安定、変色防止、製造加工条件の改善、保存性の向上などの効果もあります。

 さらに、「日持ち向上剤」の添加物としては、「グリセリン脂肪酸エステル」「香辛料抽出物」「キトサン」「ビタミンB1」などもよく使われます。これらも聞きなれない化学物質のイメージですが、安全性の高い添加物と言われています。

2. 冷凍による変性を防ぐ

「冷凍変性」とは、冷凍することによって、乾燥してひからびたり、表面が白や黄色に変色したり、油焼けやドリップが出てしまう状態のことです。

 家庭の冷凍庫でも同じような現象は起きるので、比較的想像しやすいことですが、見た目だけでなく美味しさの低下は著しいため、保存法のための冷凍でも、冷凍に耐えるための添加物を使用せねばならなくなります。