被災地支援で知られる非営利団体サルベーション・アーミー(救世軍)で働くオノフレ・カンポスさんは、トラックに水のボトルを大量に積んで避難所に届けていた。「自分のアパートは、避難警告区域内にあるから、いつ自分が避難することになるのか、毎日ドキドキしながらアラートをチェックしている」と言う。
現在、LA付近で4つの大きな火災が同時に起きており、約18万人の住民たちが避難命令に従って自宅を後にした。避難民の数は毎日増え続けている。
この避難命令アラートが夜中の3時頃にビービービーという大音響でロサンゼルス郡内の住民たちのスマホに届くのだが、「間違い」のアラートが何度も発令され、そのたびに夜中に叩き起こされ、非常持ち出しバッグを背負って逃げる準備をする羽目になっている。
筆者の住む場所は、避難警告地域から10ブロックほどの距離で、明日には避難勧告が出てもおかしくない場所だが、この原稿を書いている時点では電気もWi-Fiもある分、まだ恵まれている。
住民のストレスは限界に
それでも守る、みんなの命を
![【ロサンゼルス山火事ルポ】「もはや戦場だ…」現地在住ジャーナリストがつづる、過去最大の恐怖と一縷の望み](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/c/a/220/img_ca6749f426958b4658453507dd63acac1565048.jpg)
赤十字のバークさんは、自宅が連日停電しているにもかかわらず、避難所で焼け出されたばかりの人々の世話をしていた。「地元民同士が助け合うのが、ボランティア精神だと思っているから」とバークさんは笑顔だった。
今回の火災では、米国時間1月12日の時点で、約1万2300以上の家屋が焼失し、24名の死亡が発表された。しかも、まだ鎮火にはほど遠い。パリセーズの消火栓の水が途中で枯渇してしまった問題や、消防署の予算がカットされ、LA市消防署の数と消防隊員の数が2010年時点と比べて減少していること、さらに武装した火事場泥棒の数が日々増え続けていることなど、住民たちの怒りやストレスや恐怖は限界に達しつつある。
それでも、前述のウーバーのドライバー氏のように「自分はこのコミュニティを愛している。政府がどうだろうと、自分ができることは自分で何でもやる。火災を食い止め、命を守りたい」と語り、他人を助けようとする人が多数存在していることも確かだ。