縫い目のないシームレスなんてのもハンガーにかけたい時には逆にあだとなる。着心地の良さのアドバンテージも、かけ心地の前では無力だ。Vネックなんてもう地獄だ。Vネックの首の開いているところからハンガーの両端までずれ落ちてまったくハンガーの役割を成さない。ライチ剥いてんのか、みたいにツルリと落ちていく。
乾いたら乾いたで、ハンガーにかかったままのインナーシャツを片手で引き剥がそうものなら、もれなくその反動でハンガーが落下する。たまに粘って体操の大車輪が如く物干し竿を一周してから落下する時もある。見事に着地失敗。空の浴槽にダイブ。ビリヤードのブレイクショットかってくらい、空の湯船で弾け回るから厄介だ。
なかでも特に難敵なのはシーツだ。浴室乾燥でシーツを干すの難し過ぎるやろ!ドラマや映画でよく見る、大きい病院の屋上でしかあんなでっかいもん干されへんやろ!浴室ではもうピザのカルツォーネみたいになってしまっている。もはや折り畳まれて、本当に乾くのか?
休日のまとめ洗いは
助っ人のハンガー頼み
これは1人暮らしあるあるだと思うが、僕は比較的いつも洗濯物がたまりがちで、休日に一気にやろうとしてハンガーが足りなくなるという問題に直面する。
洗濯物同士の距離のなさといったら、タオルが人ならソーシャルディスタンス的には即刻アウトな状況。つまりパンパン。もはや乾かす気などない。とりあえず全部干せればいいという欲求のみ。なにかに取り憑かれたように無心で干す。
家中のハンガー総出で干す。クローゼットからハンガーの助っ人を要請することもある。
部員が少ない部活と同じで、野球知らなくてもいいから、とりあえず陸上部から足の速いやつ借りてくるか、みたいな。干し終えたらとにかく乾燥のスイッチを押す。もうこれで満足なのだ。
案の定それだけパンパンなので、乾燥の最大時間の6時間に設定してももちろん乾いていない。追い鰹ならぬ追い乾燥をかける。
乾いた後に洗濯物を取り込む時も相変わらず憂鬱だ。