親が勝ち負けにこだわらないことが大切

 子どもを競争に参加させる際の注意は、「親が勝敗にこだわらないこと」です。もちろん競争の目的は勝利です。しかし、子どもが100%自分の力を出し切ったのであれば、負けても、勝利と同様に高く評価してあげてください。

「やるからには勝たねばならない!」「負けてはならない!」と結果へのこだわりが強すぎると、子どもに恐怖心を植えつけてしまい、実力を発揮できなかったり、競争を楽しめなくなったりします。

 健全な競争心を育てるためには、親が「全力を出し切れば良い」という姿勢を保つことが大切です。

 日本の競争には、高校野球のトーナメントに代表されるように「絶対に負けられない一発勝負!」という深刻な雰囲気がつきまといます。しかし子ども時代の競争の意義は、本気で何かにチャレンジし、自分の力を出し切ることで得られる自信を育成することです。

 この自信が子どもの心の支えとなって、その先の人生で幾度と出合う困難や逆境から子どもを救ってくれるのです。

 勝者となって仲間や家族と喜びを分かち合う、敗者となって悔し涙を流す、敗北から再び立ち上がって挑戦し続ける、そんな経験を子ども時代に積むことが、人生にとってマイナスに作用するはずがありません。大切なのは「競争経験」であり「勝敗」ではないのです。

 子どもを競争に参加させるときはレベルにも配慮してください。理想は「手の届く範囲」の競争です。明らかなレベル差があると、子どもが劣等感を持ってしまう可能性あります。今の実力よりも少し高いレベルで競わせることがポイントです。きわどい競争ほど、子どもを大きく成長させてくれます。

 そして、子どもの技能レベルが一つ上がったことを見極めたら、もうワンステップ高いレベルの競争環境に入れるのです。さらにそこをクリアしたら、もうワンステップ上げていきます。これを積み重ねていくと、いつの間にか、ずば抜けて高いレベルへ到達できます。頭一つどころか、卓抜することができます。

習い事に丸投げしても「自信」は育たない

 スポーツ、音楽、ダンスなど、子どもの習い事を成功させるポイントは親のサポートです。子どもにどれだけ素晴らしい素質があっても、また、どれだけ評判の良いチームやコーチであっても、決して人任せにしてはいけません。

 習い事の指導者は一人で何十人もの子どもを見ています。一人ひとりの特性に合ったきめ細かい指導を期待しても無理なのです。また、えこひいきはできませんから、ほとんどの子どもは良くて「平均止まり」です。

 平均止まりでは競技で良い結果を出せず「自信」になりませんから、習い事に参加させる意義が半減してしまいます。習い事を成功させるには(家庭でも)親が子どもの練習に付き合えばいいのです。横で見ているだけでも構いません。毎日のコツコツとした積み重ねが、数年後には大きな「差」となるはずです。

 また子どものモチベーション面にも配慮してください。子どもの「やる気スイッチ」を入れるには「身近なアイドル」を見つけると効果的です。親は子どもが取り組んでいる分野で「身近なアイドル探し」を手伝ってあげましょう。

 野球を頑張っている子どもは「大谷翔平選手のようになりたい!」という大きな夢を抱くかもしれません。しかし目標が高すぎて現実味が湧きません。子どものモチベーションアップには「2つ上の先輩」など、身近なスターを見つけてあげると効果的です。

「かっこいい○○先輩みたいになりたい!」子どもがそう思えば確実にモチベーションがアップします。どんな分野でもスーパースターの先輩がいるはずです。その先輩が競技をしている姿を見せたり、直接話をする機会を作ってあげると子どもの「やる気スイッチ」が入ります!