ちなみに、グラフでは昨年(24年)の手取り額が前年より増えている。
これは、昨年6月に岸田文雄元首相の肝いりで実施された「定額減税」の影響だ。24年は大きな制度改正がなかったため、定額減税が実施されてなかったら前年と同じ手取り額(536万円)だった。
6月から実施された定額減税は、扶養家族も含めて1人当たり所得税が3万円、住民税が1万円減税されるというもの。グラフの試算モデルは、「扶養家族が3人いる会社員」なので、24年の定額減税額は合計16万円となった。これにより、額面年収700万円の人の手取り年収は、536万円から552万円に跳ね上がったのだ。
基礎控除10万円拡大による手取り増は限定的
3党協議でさらなる減税は実現するのか!?
昨年12月20日に発表された「令和7年度税制改正大綱(税制の改正案)」によると、今年の手取り収入に影響を与える改正案は、所得税の基礎控除の拡大だ。48万円が10万円引き上げられて58万円となる模様。これにより手取りが5000円~数万円増えることになる(年収が高いほど手取りアップが大きくなる)。
なお、地方自治体の税収減を考慮して、住民税の基礎控除拡大は行わないとしている。
「年収103万円の壁撤廃、178万円の壁を目指す」と息巻く国民民主党は、引き上げ幅が10万円では了承できないとし、引き続き与党との3党協議を継続する予定だ。協議の結果次第で、基礎控除がさらに拡大するかもしれない。
それにしても、基礎控除の拡大幅が10万円では、手取り収入アップは5000円~数万円に留まるのはなんだか物足りない。昨年の定額減税は、減税のやり方がよろしくなかったせいで、減税によるありがたみを実感しにくかったが、手取り額で見ると今年の基礎控除の10万円拡大よりよっぽどいい。