「基礎控除拡大」以外の
今年の改正点
前述の「基礎控除拡大」以外に手取り収入に影響がある改正点は以下のものがある。
【給与所得控除の最低保障額拡大】
給与所得控除の最低保障額は55万円であるが、10万円拡大し65万円とする。減税効果があるのは、給与収入が190万円未満の人で、手取り額が数千円増える。基礎控除は所得税のみの拡大だが、こちらは住民税にも適用される。
【介護保険料の引き下げ】
介護保険料の料率は、健康保険組合によっても異なるが、この試算では協会けんぽを採用している。協会けんぽでは、2023年4月から24年3月までは1.84%だったのが、4月に1.60%(労使折半)に変更。25年4月以降の料率は未定だが、便宜上1.60%の料率としている。介護保険料引き下げにより、前年より手取り微増となっている。
【大学生のアルバイト「勤労学生控除の拡大」】
大学生などがアルバイトをしたとき、合計所得金額が75万円以下であれば、27万円の「勤労学生控除」が受けられる。
この合計所得金額の要件が、75万円以下から85万円以下に引き上げられ、年収150万円まで所得税がかからないようになる。
【大学生のアルバイト「特定親族特別控除」の新設】
19~22歳の子を扶養する親は、子の年収が103万円までなら、所得税63万円、住民税45万円の「特定扶養控除」を受けることができる。子の年収が103万円を超えると、この控除が受けられなくなり、親の手取りが大きく減ることから、「特定親族特別控除」を新設。親は、子の年収が150万円までは同額の扶養控除を受けることができるようにする。
子の年収が150万円を超えて、親の手取りが急に減らないように、188万円までは扶養控除額を段階的に減額しつつ、受けられる仕組みを作る。賃金上昇で学生のアルバイト収入が増えていることの措置である。
額面年収は「会社からの評価額」
手取り年収は「自分の暮らしのサイズ」
毎年の手取り試算の記事に書いていることだが、「額面年収」は「勤務先が行う自分への評価額」で、多くの場合、責任の重さと比例する。
一方、「手取り年収」は、「暮らしのサイズ」といえる。生活のためにお金を使ったり、将来のために貯蓄したりする源泉となるのは、額面収入ではなく手取り年収だからだ。手取りを把握するのはキチンと生活するために欠かせない作業なのだ。
この早見表で自分の手取り年収を確認して、今年の家計プランに役立ててほしい。
当コラムでも、国民民主党と与党との3党協議で大きな動きがあれば、アップデート版をお伝えするつもりだ。