要するに、果糖は、ブドウ糖よりも肝臓に量的な負担をかけるし、脂肪肝を進ませるのも速いし、何よりダイレクトにミトコンドリアを攻撃して肝細胞をてきめんに弱らせてしまうのだということ。これは、ブドウ糖のもたらすダメージレベルと比較すると、ちょっと想像を絶するようなすさまじい破壊力なんですね。

 少々たとえは不謹慎かもしれないのですが、果糖が肝臓を破壊してしまうダメージインパクトは、「誘導ミサイル」をズドンズドンと打ち込んでいるようなものでしょう。とりわけ甘い飲み物などの液体の果糖ミサイルは、発射されたら最短距離・最短時間で誘導されたかのように肝臓に着弾します。当然、肝臓という街は、誘導ミサイル着弾によってめちゃくちゃに破壊されてしまうことになります。

書影『甘い飲み物が肝臓を殺す』(幻冬舎新書)『甘い飲み物が肝臓を殺す』(幻冬舎新書)
尾形哲 著

 こうした果糖の戦慄の破壊力に比べると、ブドウ糖の攻撃力はだいぶ規模が落ちます。あえてたとえるなら、「歩兵」が全身を回りながら何日もかけてゆっくり攻め込んでくるようなものでしょうか。

 しかも、このブドウ糖という歩兵たちが肝臓に対して脂肪化攻撃をしかけるにはインスリンという“号令”も必要になってきます。ダイレクトに打ち込んでくる果糖ミサイル攻撃に比べると、手間や時間をかけて遠回りに攻め込んでくることになるため、肝臓に与えるインパクトも多少ソフトなものになるでしょう。

 どうでしょう。みなさん、日々わたしたちが何気なく摂取している果糖が、どんなにとてつもないダメージを肝臓にもたらしているのか、その「怖ろしさ」や「コトの重大さ」が少しずつつかめてきたでしょうか。