とにかく、「果糖だから安心」なんていうスタンスで果糖がたくさん入った飲み物を常飲していたら、いずれ手痛いしっぺ返しを食らうのは目に見えています。「悪玉糖」によるダメージが着実に蓄積し、脂肪肝や糖尿病に陥って大きな後悔をするハメになると思っておいたほうがいいでしょう。
肝臓の脂肪蓄積を促進させる
果糖の恐ろしい性質
それにしても、なぜ、果糖ばかりがこんなにも肝臓によくないと言われるのでしょうか。その最大の理由は、果糖に「肝臓でしかエネルギーとして利用されない」という(他の糖にはない)特徴があるからです。
ブドウ糖と果糖のいちばん大きな違いは、この点にあります。ブドウ糖の場合、血液を通して全身の細胞を回ってエネルギーとして利用され、そのうえで余ったブドウ糖が肝臓内で代謝されることになります。
言わば、ゆっくりと全身を周遊してきた中の「行き先が決まらず、エネルギーとして使われなかった“あぶれ者たち”」が肝臓へ行って厄介をかけることになるわけです。そのため、肝臓で代謝されるブドウ糖は、血中ブドウ糖全体のうちの2割ほどにすぎません。
ところが、果糖の場合、体内に入ってきた果糖のほとんど全員が一気に肝臓に押し寄せることになるのです。要するに、腸に到着したらすぐ「肝臓に直行するコース」がスタンダードになっていて、量的にも速さ的にもブドウ糖よりもはるかに大きい負担を肝臓に与えることになるわけですね。
しかも、果糖は、ブドウ糖よりも肝臓内の脂肪蓄積を進行させやすく、脂肪化する量も多ければ、脂肪化するスピードも速いのです。
このように、「肝臓でしかエネルギーとして利用されない」という特徴があるために、果糖は、「量」と「スピード」の両面において、他の糖とは比べ物にならないほどの負担を肝臓にかけることになるわけです。
肝臓にしてみれば、「直行ルート」を通して、毎日のようにとんでもない量の仕事が次から次に押し寄せてくるようなものでしょう。そういうオーバーワークが延々と続けば、あまりの負担に疲れ果ててしまうのも当然ではないでしょうか。