どんなに仕事で成果を出しても、周りから「評価」されなければ無意味である……あなたも、自分より能力が低い人がなぜか上司から高く評価されていて、イラッとした経験があるはず。ではこのような「なぜか評価される人」の“戦略”を、あなたは知っているだろうか。新刊『雑用は上司の隣でやりなさい』は「周りに実力を“評価させる”戦略」を初めて言語化した歴史的な一冊だ。職場で「実力を適切にアピールする「見せ方」の技術」をまとめた本書は、発売直後から賛否両論を巻き起こし、「こんな本が30年前に欲しかった」「人間の深層心理を突いている」「上司サイドにも対策が必要」などと話題沸騰中である。今回はその中から「出世する人の特徴」についてお伝えする。

職場にいる「資格を熱心に勉強する人」は出世しない。その残念な理由Photo: Adobe Stock

資格オタクは出世しない

あなたは会社に必要な資格をいくつ持っているでしょうか。僕が勤めるメガバンクでは非常に多くの資格取得を求められます。僕は入社式より前に証券外務員資格の取得を強制され、入社後は生命保険、損害保険、ファイナンシャルプランナー等の金融商品販売に関わる資格試験も受けさせられています。入社して数年経つ頃にはキャリアに応じて宅建や証券アナリスト、中小企業診断士等の資格を取得する銀行員もいます。

残念ながらそれだけ多くの資格をとったとしても会社の出世には関係がないどころか出世にネガティブに働くことが多いです。今回は、そういった資格オタクがなぜ出世しないのかを解説していきます。

出世は上司が決めるもの

あなたの部下が資格オタクだったとしましょう。あなたがとある仕事を夕方に依頼したところ、資格の勉強をしたいという理由で断ってきたらどうでしょうか。資格の勉強と聞くと「それを邪魔しちゃ悪いな…」と思ってしまうのではないでしょうか。

では、会社の飲み会に誘った時も同じような理由で断ってきたらどうでしょうか。真面目な社員に見えるかもしれませんが、資格オタクは1年中資格の勉強をしているのでどのタイミングで誘っても断ってきます。こういった社員をあなたは上司として可愛がることが果たしてできるでしょうか。

逆に、その資格マニアの同期で仕事は少しできなかったとしても夕方に仕事の依頼をしても嫌な顔一つせずに手伝ってくれて、飲み会への付き合いも良かったとしたらどちらを出世させたいと思うでしょうか。このように、資格オタクの社員の多くは、本来は仕事に費やさなければいけない時間を削ることで資格の合格率を高める一方で出世する確率を下げてしまっているのです。これでは本末転倒ですよね。

資格勉強するなら、周囲への「見せ方」も意識しておこう

資格自体が悪いと言うわけではもちろんありませんし、中にはコスパの高い資格も存在します。ただ、資格オタクになってしまうと出世の確率が逆に下がってしまうこともあるわけです。せっかく資格を勉強するなら、「職場でどう評価されるか」を逆算して資格勉強をしておく技術を身に着けておいたほうが良いでしょう。

(本記事は『雑用は上司の隣でやりなさい』に関する書き下ろし原稿です)