いいじゃないですか、元部下よりも収入が減ったって。向こうも今までずっと、あなたの方が多いって悔しがってたかもしれませんよ。これまで貯めてきたお金で楽しみましょうよ。会社の給料以外の稼ぎ方に挑戦してみるのも面白いもの。会社からもらう何十万円よりも、自分の価値に支払ってもらった1000円の方がはるかに幸せですから。新たなチャンスをもらったことに感謝!

 懐石料理じゃなければ、幸せを感じられないわけではないですよね。スーパーに行って自分で食材を買ってきて、今まであまりやってこなかった料理にチャレンジしてみるのもいいかもしれません。家族が「お父さんの作った豚汁、おいしい!」って言ってくれる方が、はるかに幸せじゃないですか。

 仕事は1人ではできません。そう考えると、手柄は個人のものではなくてチームのもの。あなただけがその手柄で評価をされたら、別の人が同じように妬む気持ちを持つかもしれませんよ。誰かと手柄を取り合うんじゃなくて、みんなで手柄をあげましょう!そしたらみんなハッピーじゃないですか!

 そう思うと、結局、幸せって自分の心のありようなんだなと思います。誰かと競争して一時の幸せを奪い合うのではなく、周りに感謝したり、普段の料理に喜びを見出してみたり、チーム全員が評価されるように動いてみたりすることで、フィリピンの方々のように、誰かと競争して勝たなくても幸せを得られるのです。

「幸せになる」と「幸せでいる」は何が違う?

 こうした中で私が感じたのが「幸せになる」ことと「幸せでいる」ことの大きな違いです。

「幸せになる」というのは、幸せな状態になるために何かのアクションを起こすということ。我々がついつい考えてしまいがちな、競争の末に幸せを勝ちとる、幸せを掴みとるということに近いでしょう。

 しかし逆に言えば、幸せになろうとした結果、上手くいかずに幸せになれなかったということもありうるのです。ですから、幸せになろうとすることの裏には、幸せになれないリスクも存在していることになります。

 一方で「幸せでいる」というのは、今現在の生活に幸せを感じること、またその幸せな状態でいつづけるということです。そこに努力や行動もなければ、結果を誰と比べるでもない。この状態は、ただただ毎日の生活の何気ないひとつひとつに感謝することで、幸せを感じ続けるということなのです。

・幸せとは、「成し得る」「勝ち得る」ものではない
・現在の「その状態で存在する」ことなのだ

 過去の私の幸せの形は、何かを得ることが目的で、得たら達成するといったものでした。ですがこうした幸せは一時的なもので、今はそのとき感じた幸せもどこかにいってしまっています。