名刺交換で「特別な印象」を残す
――他にも印象を残す工夫はありますか?
福島 あとは、名刺の扱い方ですかね。
訪問先で名刺交換をした際、いただいた名刺は名刺入れの上に置くのがマナーですよね。でも、置けても2~3枚が限界です。相手が5人とかになると、何枚かの名刺はテーブルに直置きになりますよね。仕方ないことではありますが、以前、自分の名刺が名刺入れの上から脱落したのを見て、ちょっと寂しく感じたことがあるんです。
今井 たしかに、他の人と差がついたようで悲しい感じがしますね。
福島 僕が繊細なだけかもしれませんが、同じように感じる人もいるかと思います。そもそも本来は、名刺入れを座布団に見立てていると聞きました。それであれば、客人の全員に座布団を出さないのは失礼にあたると感じました。
そこで、薄い長財布を持ち歩き、商談相手が複数人のときはスッと出して、その上に名刺を置くようにしました。するとお客様は「なんでわざわざ?」と興味を持ってくれます。そこで「下に置いたらお客様に失礼ですので」と説明すると、感心していただけるんです。
今井 それは信頼につながるすごい工夫ですね。
福島 おそらくほとんどの人が「やりすぎでは」と感じることでしょう。でも、自分がやりたくてやっているだけです。
それに、それくらいやってようやく「他とは違う」と感じてもらえるのだと思います。その流れから、営業先の企業で「うちで研修をしてくれないか」と頼まれることもよくありました。
その場で得た「信用」が、「信頼」をつくる
今井 僕は「信用」と「信頼」は違うものだと考えています。
信頼は「今」や「過去」に対する評価で、そこから「将来」における信頼が生まれるのだと思っています。福島さんの話は、まさに初対面の場で「信用」を得ることで、「また会いたい」と感じさせる「信頼」をつくる工夫ですよね。
福島 そうですね。ですので大企業や、業界シェア7割みたいな「強者」なら、必要ないことかもしれません。
でもほとんどの営業パーソンは、そうではないと思うんです。実績や企業名が弱いからこそ、お客様の目の前で「信用」を得て、次につなげる「信頼」を構築することが重要だと思います。
まとめ:また会いたい「特別な存在」になるために
今井 お客様にとって「特別な存在」になるためのポイントを教えてください。
福島 次の3つが大切です。
1:誰もが「当たり前」に思っていることに目を向ける
2:「本来の意味」を伝える工夫をする
3:信用を得ることで、次につながる信頼を構築する
今井 これらを意識すれば、「また会いたい」と思ってもらえそうですね!
福島 当たり前を見直し、そこに意味を加えることで、特別な存在になれるはずです。
(本稿は、営業職の情報プラットフォーム“YEALE(エール)”企画によるトークセッション形式のイベント「セールスハッシュタグ」で行われた、『記憶に残る人になる』の著者・福島靖氏と『Sales is』の著者・今井晶也氏の対談をもとに構成したものです。YouTube(2B Sales チャンネル)から、対談の動画も視聴できます)