日産自動車とホンダの経営統合の方針決定が1月末から2月中旬に先送りになった。ホンダは統合の条件として自主的な経営再建を日産に求めている。しかし、ホンダは日産の経営再建策に納得していないのだ。このままでは、統合が破談になる恐れもある。特集『日産 消滅危機』の#19では、ホンダが求める構造改革案の詳細を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
日産がホンダから求められる
EVやHVの開発における重大決断とは
ホンダと日産自動車、三菱自動車の経営統合に向けた協議が難航している。昨年12月下旬に開催された記者会見では、今年1月末にも経営統合に向けた検討の結果を示すと表明していた。
ところが、1月30日に行われたホンダの取締役会では、前述の検討結果について議論すら行われなかったという。
他方、日産は2月中旬にも方向性を示すとしている。早ければ日産とホンダが2024年4~12月期連結決算を公表する2月13日前後に発表されることもあり得る。
協議が難航している背景には、ホンダを納得させられるだけの構造改革案を日産が提示できていないことがある。
昨年11月の決算会見で日産は、全従業員の7%に当たる9000人を削減し、世界生産能力も2割減らす方針を示していた。実際、日本国内や米国など一部の工場のリストラ計画は明らかになっている。
米国は、スポーツタイプ多目的車(SUV)の「Rogue」や、セダンの「Altima」を製造するスマーナ工場(テネシー州)とキャントン工場(ミシシッピ州)、エンジンなどパワートレインを手掛けるデカード工場(テネシー州)の3工場で随時生産調整を実施するほか、3工場で働く従業員を対象に希望退職者を募集する。
日本では、子会社である日産車体の湘南工場(神奈川県平塚市)で製造している商用バンの「AD」の生産を終了する計画だ。
日産は上記の内容を含む構造改革案の骨子をホンダ側に示しているが、ホンダは不十分だと判断しているのだ。4月にはホンダから「人数が多過ぎる」と批判されている役員の削減も進むとみられるが、ホンダが求めているのはそれだけではない。
次ページでは、構造改革だけではない、ホンダが日産に求める条件の詳細を明らかにする。