電気自動車の開発競争が激しくなる中、日産自動車とホンダにはどれだけの技術力と競争力があるのか。特集『日産 消滅危機』の#18では、特許の取得件数から両社の実力を徹底分析する。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
「技術の日産」を自称も
近年は技術力に陰り
「技術の日産」――。日産自動車がCMなどで自社の強みをアピールする際に、度々用いられてきたフレーズだ。
確かに過去を振り返れば、日産はスカイラインやブルーバードといった名車を生み出しただけでなく、2010年に世界初の量産型電気自動車(EV)、リーフを開発したり、19年には世界初の先進運転支援技術「プロパイロット2.0」を搭載したクルマを発売したりして、自動車業界を驚かせてきた。
だが、今はどうだろうか。リーフの開発で培った技術を、次のEV開発に十分に生かすことができず、BYDをはじめとする中国勢に後れを取っている。
そればかりか、独自のハイブリッドシステム「e-POWER」もトヨタ自動車やホンダのハイブリッド車(HV)と比べて燃費性能が劣るなど、競合メーカーより技術が優れていると言い難い状況になっている。
日産は今も世界と戦えるだけの技術力を有しているのか。それを明らかにするために、調査会社パテント・リザルトの協力を得て、日産と、同社と経営統合に向けて協議を始めたホンダの特許取得状況を分析した。
次ページでは、海外勢を含む大手自動車メーカーの特許取得状況を比較しながら、日産とホンダの“本当の”実力を解明する。ホンダと日産が注力している全固体電池で、両社はどの程度、技術的な優位性を持っているのかにも迫る。