働いていれば不安を抱えることは少なくない。「いつまで第一線でいられるか」「いつまで他人と競えばいいのか」「気力体力はいつまで続くか」「お金は?」「いまのうちにやるべきことは?」など不安はつきない。そこで本連載では、2025年に60歳を迎える奥田民生の10年ぶりの本『59-60 奥田民生の仕事/友達/遊びと金/健康/メンタル』の中から、民生流の「心の持ち方、生きるヒント」を紹介する。「力まず自然体でカッコいい大人」代表の奥田民生は、これまでどのように考え、どのように働き、どのように周りとの関係を築いてきたのか。その真髄を見ていこう。(構成/ダイヤモンド社・石塚理恵子)
![部下にどんどん辞められるリーダーがしている「やばい質問」ナンバー1](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/4/f/750/img_4fc1cf35366dd6445bc9ae8f05cb0633548364.jpg)
Photo by Takahiro Otsuji
「自分には長所がない」と悩む人たち
「自分にはいいところがない」「長所なんてわからない」って言う人がいるけれど、たしかに自分のいいところを知っていれば、変なところで他人と比べて落ち込むことがなくなるからラクかもしれない。
でも自分の長所と短所なんて自分でわかるものなのだろうか?
自分をわかっていないと仕事はできないのか?
就職の面接では「自分の長所と短所を言え」って言われるって聞いたけど「そんなもの誰がわかるの?」と思ってしまう。
面接でそれを言わされるっていうことは、自分を自己分析できていないとダメだということなのだろうけど、それは「仕事ができる、できない」に関係ないと思ってしまう。
自分の長所を言えるだなんて怪しくないか?
俺が人を雇う立場だったら、自己アピールなんてきっとさせない。
「自分のことなんて言わんでいいよ」と思ってしまう。
長所を見抜いて「この仕事をしてほしい」とオファーするのは雇う側で、それをしないなら社長が仕事放棄をしている気がする。
俺が社長だったらやりたいことはひとまず聞くけど、話してみて「そっちじゃないな」と思ったら俺がポジションを決めると思う。
自分のいいところなんて本人が思うところとは違うことも多いものだし、だいたい「自分はこんなにすごいです」ってアピールするやつが、いいやつなわけねーじゃんとも思ってしまう。
長所、短所なんて結局のところ、自分じゃなくて他人が決めるものだと思う。
リーダーと部下は「ここ」ですれ違う
たとえば会社に入ったら「自分はこういうことができると思います」とか、「やる気はあります」みたいなことを言うっていうならわかる。
でも「会社に入るときに言ったじゃないですか、私の長所はこれです」なんてアピールしても、会社がそれにピンとこなくて、希望と違う部署に配属させたら、「俺の長所を聞いてくれなかったから辞めます」みたいなことが起きないとも限らない。
そうなったら本人がなんか逃げ道を作っているようで俺はイヤだ。
長所を見極めるのはリーダーの仕事
俺だって「あなたの長所と短所を教えてください」って言われたら多分困るし、「俺の長所ってなんだ?」なんて考えたこともない。
俺は基本、自分の長所を自分でわかってアピールするより、自分のよさをわかってくれる人が勝手に自分を使ってくれる方が断然いい。
俺は人に利用される方がラクだし、その方がうまくいくと思っている。
(本稿は奥田民生『59-60 奥田民生の仕事/友達/遊びと金/健康/メンタル』からの抜粋記事です。)