データはただの数字、大事なのは「そのデータに何を見出すか」

 新しい視点やアイデア、イノベーションを生み出すために、自分独自の人生観から、新しい視点で改めてデータを見直して、「インサイト」を発見していくことも、これからの時代には、ますます大切になっていくかもしれません。

 データは、ただの数字です。石と同じとさえ言えるかもしれません。ある現実の結果として、そこに存在しているだけです。しかし、同じ石を見ていても、その石が珍しく稀少な石だと気付く人もいれば、その石がどんな有用なものに加工できて経済的な価値をもたらすかが分かる人もいます。または、その石があることで、周囲の環境が今後どのように変化していくかの想像が付く人だっているかもしれません。

大谷翔平の真の価値を示す「知られざる数値」とは? 「50ー50」でも打率でもホームラン数でもなかった!『センスのよい考え方には「型」がある』佐藤真木、阿佐見綾香(サンマーク出版)

 石炭が全盛の時代に、石油はまだその有用性が誰にも理解されておらず、不要なものとして川に垂れ流されていた、という逸話もあります。つまり、石を見る前に、その人ならではの視点で何かに気づき、違和感や疑問を持ち、何かをつかんでいた人にしか、その場にある石から意味や価値、有用性を見出せません。

 つまり、単に多くのデータが手に入り、蓄積されただけでは、そこから自ずと「インサイト」が生まれることはないのです。データを見る前に、あなた独自の気づきや違和感、疑問や問いがある。それらを持って、改めてデータをじっくり見てみることで、自分の気づきや違和感が「インサイト」へと育っていくのです。

 拙著『センスのよい考えには、「型」がある~感覚を言語化するインサイト思考~』では、これまで個人の資質の問題とされてきた「インサイト」の発見方法を、「出世魚モデル」という5つの思考ステップと、さらにシンプルな「逆説モデル」として整理しています。誰にでも実践できる再現性の高い「型」として、丁寧に解説していますので、同じデータから飛び抜けた発想がしたい人は、ぜひ参考にしてください。