SUV「風」なのか「風」じゃないのか

鈴:僕らも実験で本当に倒したことはありませんが、ムチャをすれば倒れると思います。重心高が全然違いますからね。この話を社内でしたら、営業サイドからは「いや、スズキのお客様が求めているのは、本格的な走破性だろう」という話もありました。

F:見てくれだけじゃダメだ。リアルでオフロード走行もできなきゃダメだ、と。

鈴:そうそう。そういう意見は営業サイドから結構強くありました。それは事実だろうけれども、じゃあ実際にこれでバキバキ山に入って行く人なんている?お客様はそんなにヘビーなものを求めている?本当に行きたい人はジムニーで行くんじゃない?と。

F:ホントに山になんか行くの?キャンプ場がせいぜいじゃない、と。

鈴:そう。最後の最後まで営業側とはモメたんですよ。SUV「風」なのか「風」じゃないのか。この「風」という議論を、社内で散々重ねました。お客様はもっとライトで、軽い気持ちでそういうアウトドア「風」の雰囲気のものが欲しいんだと。いやいやウチはスズキだぞ。「風」とか言ってどうすんの、と。

F:いいですね。実に健全な議論です。営業が言うこともよく分かる。「ジムニーの会社だぞウチは!」と。

鈴:我々としてはこの新しいカテゴリーに挑戦したい。それに何か新しい手を打たないと、スペーシアは本当に沈没しちゃうよ、という話を社内で話をして。何しろ他がないから。他社さんでも前例がないから。

 と、いい所で以下次号。そろそろ会社に行く時間です。サラリーマンは辛いです。それではみなさま、また来週。

(フェルディナント・ヤマグチ)

「ジムニーノマド」がとんでもないことになっている

 こんにちは、AD高橋です。

 スズキが1月30日に発表した新型車、ジムニーノマドがお祭り状態になっています。

ジムニーノマドの発表会で撮影に応じる鈴木俊宏社長(広報写真)ジムニーノマドの発表会で撮影に応じる鈴木俊宏社長(広報写真)

 発表当日は平日にもかかわらず、全国のスズキディーラーに人が押し寄せました。受注は初日だけで1万台とも1万3000台とも言われています。

 私は翌31日に野暮用があり都内のスズキディーラーに顔を出したのですが、午前中にもかかわらず商談テーブルは満席で、さらに商談待ちの人がいるほど賑わっていました。平日の昼間にディーラーに人が並んでいるなんて、見たことがない光景です。