比例区から出馬した東谷は、選挙期間中も1度もドバイから帰国することはなかったが、インターネットと本人不在の選挙活動だけで旧N党の9名のうち最多の約28万票を獲得し、当選を果たす。

 23年3月22日である。UAEの現地時間の午後2時、Zoom画面に現れた東谷は約束の時間からほんのわずか遅れたことを丁寧に詫びてインタビューに応じた。

 除名され、逮捕状が出た後のタイミングでの取材となった。UAEに長期滞在できるビザは既に取得しており、パスポートの返納命令が出たとしても、すぐさま不法滞在になるわけではない。したがってドバイでの暮らしを謳歌しているというが、慎重に慎重を期して背景はすべてぼかされていた。強気な姿勢とは裏腹な慎重さは奥野卓志の指摘した通りだと思った。

ガーシーの捜査は
国策で動いている?

 水色のサマーニットにシルバーのネックレス、愛用している「444」という数字がデザインされた白のベースボールキャップをかぶっていた。口調は関西弁で興奮すればするほど早くなる。以下、彼との約束の通り、なるべく忠実に記しておこう。

「常習的脅迫と言われてもね、真実を伝えているだけなので。完全に今回の捜査は茶番だなと思っているので。既得権益を持ってる人間が動いてるんだろうなっていうふうには認識してます。警察担当の記者からも色々聞きましたけど『完全に国策で動いてる』っていう言い方をされたんで。それでやられたのがホリエモン(実業家の堀江貴文)事件でしょ。4人の弁護士に聞いても、国策なら通常の捜査で終わる保証はできないと言われたんで。訳わからん容疑をいっぱいかけられて、再逮捕、再逮捕となったら『刑務所入ってるんと一緒やな』と思ったから、帰らない選択をしました。どう思います?名誉毀損の罪で、国際指名手配なんかかけますか?」

 本当に帰国の意思はあったのかと尋ねるとこう返ってきた。