釜山での歴史的な弾劾反対集会

 2月1日、韓国第二の都市・釜山の駅前広場で開催された大規模集会は、韓国社会に大きな衝撃を与えた。キリスト教プロテスタント団体が主催したこの集会には、1万3000人もの市民が参加し、尹氏の支持と弾劾反対を主張した。冷たい雨が降り続くあいにくの天候にもかかわらず、駅前広場は人で埋め尽くされ、群衆は駅構内や周辺道路、ビルの屋上にまで及んだ。

 SNSや現地の目撃証言によると、実際の参加者数は公式発表を大きく上回っていたとされる。YouTubeでのライブ配信も時間とともに視聴者数が増加し、最高で12万人を記録。この数字は、韓国の政治集会としては異例の高さとなった。

 しかし、主要メディアは各地で行われた尹氏支持のデモについては簡潔な報道に留め、左派中心で尹氏弾劾を訴える反政府デモを大々的に報じていた。この報道姿勢自体が、メディアの信頼性低下を加速させる要因となっている。

メディアの影響力変化とZ世代の台頭

 左派支持者の特徴として、テレビや新聞といったメディア報道のみを重視し、異なる意見を容認しない傾向が強い。少しでも異論を唱えれば、激しい否定や罵倒で反論の余地を与えないことも珍しくない。学校で教師が、家庭内で親がこういう姿勢であることもよくあった。

 しかし、注目すべきは若年層、特にZ世代の動きである。上述の釜山での集会でも、「参加者の3分の1は20~30代の若者だった」と主催者は述べている。一連の尹氏の弾劾や、繰り返される政局の混乱に疑問や関心を持つ若者が増えていると言えるのではないだろうか。

 背景にあるのは、この世代は、メディアの報道だけでなく、SNSやYouTubeを通じて情報収集を行い、多角的な考察に触れる機会が増えているということだ。また、この世代の中にはYouTubeなどで積極的に韓国の政治状況について発信を行っている人もおり、こうした活動によって、日本など海外にも韓国の状況が知られる一助となっている。