左派支持者が多いと言われる韓国芸能界でも、尹氏支持を公言する俳優やタレントが現れており、かつての朴槿恵(パク・クネ)政権や文在寅(ムン・ジェイン)政権時の世論の雰囲気とは異なっていると感じる。

 ネットを通じて、韓国内のみならず、海外にも韓国のこうした状況が伝わることは、政権交代を狙う左派や、反日・反米勢力にとって厄介なことだろう。

メディアの信頼性と情報リテラシー

 最近、日本では、従来のマスコミ全般が「オールドメディア」と揶揄されることが増えている。この傾向は日本に限らず、韓国や米国など世界的な現象となっている。特に2020年代に入り、コロナ禍を経て、既存メディアへの信頼性に疑問を持ち、ネットで情報収集する人々が年々増えていることを感じる。

 ただ、SNSやYouTubeの情報にはフェイクニュースや誤った情報も多く存在し、信憑性への疑問もある。鵜呑みにするのが禁物なのは当然としても、それでも、さまざまな情報に触れ、考察し、周囲と議論できるようになったことはポジティブに考えたい。

 左派のメディアが強い韓国ではあるが、ネットで多角的な情報に触れられるようになったことにより、朴槿恵政権や文在寅政権の時のように、韓国世論が左派&反日一色にはならないだろうと予想している。しかし、ネットで情報収集する人が増え、得られる情報が多様化したことにより、世代間の対立やさらなる社会の分断が深まる危険が増しているのも事実である。

 2月中には、尹氏に対する弾劾や逮捕が正当かどうか、憲法裁判所の裁判が下される見込みだ。韓国政治はこれからどうなるのか?世論の推移を含め、今後の展開に注目していきたい。