同時に、自己負担限度額の見直しも行われる。3つに分割された所得区分の中で、一番所得の低い区分は限度額が据え置かれるが、所得の高い方の2つの区分は限度額が引き上げられる。さらに、この所得の高い方の2区分は、27年8月に限度額がもう一段階引き上げられる。
所得区分「一般」「低所得I・II」は
25年8月以降も外来特例が継続
このように、今後は「高齢者」というだけで一律に優遇されることはなく、70歳以上の人の高額療養費も所得区分が細分化され、その人の負担能力に応じた自己負担限度額が設定されることになった。
だが、高齢になっても、仕事を持ち現役世代と変わらない収入を得られるのは一部の人だけで、主な収入は公的年金だけになる。その点が考慮されて、年収370万円以下の人は「外来特例」が継続される。
外来特例は、70歳以上の人の高額療養費に設けられている制度で、入院とは別に、通院のみの医療費に設けられている自己負担限度額だ。
以前は、70歳以上の人なら所得に関係なく外来特例があったが、18年8月の改正で、所得区分が「現役並み」の高所得層は外来特例が受けられなくなった。現在、高齢者のなかでも外来特例があるのは、所得区分が「一般」「低所得I・II」の人で、それが今回の改正でも継続されることになった。
ただし、「低所得I」の人を除いて、外来特例の限度額は1カ月5000円~1万円引き上げられることになっており、こちらも負担増とは無縁ではない。
例えば、年収250万円の人の外来特例の限度額は、現在は1カ月あたり1万8000円、1年間では14万4000円が上限となっている。だが、26年8月以降は月額2万8000円、年間上限22万4000円となる。
その他の支出を切り詰めれば、払えない金額ではないかもしれないが、家計の中に占める医療費(自己負担額)の割合がじわじわと増えていきそうだ。