総合商社の新卒社員は、入社後にエネルギー、金属、食料などの商材ごとに担当分野へ配属される。この仕組みが縦割り組織を生み出す要因となってきた。

 最初の配属先の部署を象徴する看板を背負い続け、各業界の「商材や商慣習を熟知したプロになれ」と求められる。この制度が、いわゆる「背番号制」である。

 こうした環境の中で、社員はトレーディング、営業、海外駐在、新規事業開発など、さまざまな業務を経験しながらキャリアアップを図ってきた。

 しかし近年では、従来の背番号制にとらわれず、社員が自ら希望する部署への異動を申請できる「公募制」を導入する企業が増加している。

 また、総合商社各社は従来のオープン採用に加え、特定の部署や職種を志望する学生向けの採用枠を設ける傾向が強まっている。これにより、学生は自身のキャリアプランに応じた選考ルートを選択できるようになった。

 近年、多様性への理解が求められる中で、従来型の「体育会系」「リーダーシップ重視」といった画一的な採用基準は次第に薄れつつある。

 もっとも、高い目標を掲げ、チームで成果を追求する姿勢は引き続き重視されている。その一方で、自身の個性を理解し、それを積極的にアピールする能力も求められるようになっている。

 さらに、グローバルビジネスの拡大に伴い、語学力や異文化理解力の重要性が高まっている。

 加えて、デジタル化の進展に対応するため、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する基礎知識やスキルを備えた人材の需要も増している。

ハイクラス転職した人が
保有する資格で最多は?

 総合商社に入社した人々がどのような能力を有し、キャリアアップを遂げてきたのか。その手掛かりとして、「【ランキング】総合商社にハイクラス転職した人が持つ『意外な資格』とは?」という記事で触れた、総合商社にハイクラス転職した人の保有資格で多かったものを紹介しておこう。

 求人サービス大手のエン・ジャパンの協力を得て、若手ハイキャリアのスカウト転職サイト「AMBI」(30代以下が中心)とミドル世代のハイクラス転職サイト「ミドルの転職」(40代以上が中心)の両サイトを活用して、総合商社に転職したユーザーが保持していた資格を集計した。